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ETFの3つの価格とは?【深掘りETF②】

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ETFはどうやって作られるの?で見た通り、ETFには流通市場での取引価格となる「取引所価格」と発行市場での取引価格のベースとなる「基準価額」、さらに取引時間中に開示される「インディカティブNAV(推定一口あたり純資産価格)」という3つの異なる価格が存在します。

取引所価格と基準価額の関係

取引所価格は、一般の株式と同様に、投資家が取引所で売買する際の価格のことで、その時の需給を反映し、リアルタイムで変化します。そして、取引終了時に「終値」としてその日の価格が確定します。

基準価額は、ETFに組み入れられている有価証券の時価評価に株式の配当金や債券の利息などの収入を加えた資産総額から、ETFの運用に必要な費用を差し引いた純資産総額を発行済口数で割って求められる1口あたりの値段です。基準価額は、1日に1回当日の時価評価をもとに算出され、20時頃に公表されます。

マーケットの需給で決まる取引所価格(終値)と基準価額は必ずしも一致しないため、この2つの価格の間には「乖離(かいり)」が生じます。

当サイトでは、銘柄毎に、「取引所価格(終値)」と「基準価額」の乖離率をご確認頂けます。

(例)TOPIX連動型上場投資信託(銘柄コード:1306)の商品ページ

取引所価格とインディカティブNAVの関係

インディカティブNAV(NAV=Net Asset Value)は、ETFの基準価額のリアルタイム推定理論値を表しています。基準価額は前日の終値で算出されたもので、当日の株価変動が反映されないため、投資家が取引中のETFの純資産価値を把握できるよう、取引時間中の投資対象の有価証券等の時価変動に基づいて、15秒毎に公表されているのがインディカティブNAVです。

例えば、リアルタイムで変動する取引所価格がインディカティブNAVよりも高い価格で取引される場合(取引所価格>インディカティブNAV)、ETFは本来価値より割高な水準(プレミアム状態:買うタイミングとしては不利・売るタイミングとしては有利)と判断できます。一方、取引所価格がインディカティブNAVよりも低い価格で取引される場合は割安な水準(ディスカウント状態:買うタイミングとしては有利・売るタイミングとしては不利)となります。このように、インディカティブNAVを利用することで、売買しようとしているETFが推定理論価格と比較して、割安か割高かを知ることができるのです。

インディカティブNAVは、東証が公表しており、東証のホームページでご確認頂くことができます。

NEXT FUNDSのインディカティブNAVの開示銘柄一覧はこちら

ETFの3つの価格「取引所価格」「基準価額」「インディカティブNAV」の比較表

算出頻度特徴
基準価額1日1回ETFが保有する資産等を前日終値に基づき算出した価格
取引所価格(終値)取引終了時取引所で取引終了時についた最終価格
取引所価格取引時間中リアルタイム取引所で取引する際の価格
インディカティブNAV取引時間中15秒毎※ETFが保有する資産等を現在値に基づき算出した価格

※東証サイトのインディカティブNAVは、15秒単位で表示されています。

流動性を提供するマーケットメイクのしくみ

ETFには、市場に流動性を提供し、取引所価格が基準価額から乖離することを防ぐしくみがあります。これを「マーケットメイク」と言い、マーケットメイクをする会社を「マーケットメイカー」と呼びます。

マーケットメイクの役割は、証券会社や主に海外の流動性提供会社が担い、ETFの各銘柄に常時「売り気配」と「買い気配」を提示し、相対取引を基本に売買を成立させます。マーケットメイカーが出す「売り気配」と「買い気配」の情報を「板情報」と言います。

下図は、売買の指値注文の状況を示しています。例えば、あるETF銘柄のある日の出来高が100口だったとします。板情報を見ると、このETFには940円~980円の範囲で810口の買い注文が、990円~1,040円の範囲で760口の売り注文があり、実際の売買高よりも多くの注文が出ていたことがわかります。

板情報を見る際に注意を払いたいのが、「スプレッド(spread)」や「デプス(depth)」という指標です。
スプレッドとは、最良の売り気配価格(最も安い売り気配価格)と最良の買い気配価格(最も高い買い気配価格)の差のことです。上図の例では、最良の売り気配が990円、最良の買い気配が980円となっているため、(最良気配値の差である)スプレッドは10円となります。したがって、この銘柄を買いたい投資家は、990円で買うことができます。

一方、仮に最良の売り気配が1,000円で最良の買い気配が970円、すなわちスプレッドが30円に広がった場合は、この銘柄を買いたい投資家は買値を990円から1,000円へと、さらに10円分、引き上げないと買えないことになります。投資家が、なるべく自分の希望価格の近辺でETFを売買できることを「流動性が高い」と言うならば、上記の例が示すように、スプレッドが狭いということは流動性が高いと言えます。

一方デプスは、売り気配と買い気配に出されている値段の数量のことです。上図の例では、最良気配のデプスは売り990円で180口、買い980円で180口となります。もしこの銘柄を150口買いたい投資家であれば、最良売り気配のデプスは180口ですので全て990円で買うことができます。しかし、200口買いたい場合は、全ての注文を最良の売り気配の990円で買うことはできません。つまり、デプスが大きいということも流動性が高いと言えるのです。

このように、ETFのお取引では板情報が役に立ちます。特に売買高が少ないようなETFを取引する際には、事前に板情報をチェックするとよいでしょう。

2018年7月に東証は「マーケットメイク制度」を導入しました。これはETF市場に、より流動性を供給するために東京証券取引所が中心となって開始した制度で、事前に、気配提示する銘柄やスプレッド、数量等を決めておき、売り気配と買い気配の提示というマーケットメイクをより能動的に行なうもので、マーケットメイカーはマーケットメイクの行為の代償として一定のインセンティブ(報奨金)を受け取ります。このような制度は欧米では既に存在し機能しているのですが、今回日本でも導入されたことで、日本のETF市場の流動性向上が期待されています。

マーケットメイク制度の対象ETF一覧は、東証のホームページに掲載されています。

(2018年12月作成)

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