マーケットのトレンドに投資する ~ETF×信用取引の活用法~(第3回)

株式相場の影響をヘッジした投資手法 ~個別銘柄×ETFのロング・ショート【ETF×信用取引③】

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ロング・ショート取引とは?

今回のテーマは『個別銘柄×ETFのロング・ショート取引』です。
ロング・ショート取引とは、「株価上昇が期待される銘柄の買い(ロング)」と、「株価下落が予想される銘柄の売り(ショート)」を組み合わせる取引です。下のグラフは、ロング・ショート取引の損益イメージをグラフにしたものです。

ロング・ショート取引の損益イメージ

etf_303_img01.png(出所:筆者作成)

ロング銘柄を赤色、ショート銘柄を青色で表しています。

仮に株価予想が的中し、ロング銘柄が20%の値上がり、ショート銘柄が20%の値下がりをした場合、損益(橙色)は20+20=40%となります。
機関投資家が手掛けるロング・ショート取引は「同業種の銘柄群から割安銘柄のロング×割高銘柄のショートのペアを選択」するケースが多いですが、銘柄選択には相応の知識を必要とするうえ、仮に2銘柄とも予想が外れた場合、両方の損失を被るため、個別銘柄同士のロング・ショート取引は難易度が高いです。
そこで、今回ご紹介する取引はリスクを最小限に抑えた「個別銘柄×ETFのロング・ショート取引」です。

個別銘柄×ETFのロング・ショート取引例①医薬品ETF

個別銘柄とETFのロング・ショート取引について、実際のチャートを例に解説いたします。
下のグラフは、アステラス製薬(4503)・武田薬品工業(4502)の医薬品大手2社と、アステラス・武田の2社が組入比率の約30%を占めるNEXT FUNDS医薬品ETF(1621)の株価推移をまとめたものです。

株価推移(2018年1月~2019年2月) ※年初の株価を100として指数化

etf_303_img02.png(出所)筆者作成

上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定銘柄の売買などの推奨、価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。また、ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

それぞれのチャートを比較すると、アステラス製薬(赤色)の株価は堅調に推移した一方、武田薬品工業(青色)は海外の製薬会社買収に伴う新株発行が影響して株価が下落しました。

このようなケースでは、
①アステラス製薬のロング×医薬品ETFのショート(グラフの が収益)
②武田薬品工業のショート×医薬品ETFのロング(グラフの が収益)
という二つのロング・ショートの組み合わせが考えられます。

個別銘柄とETFを組み合わせる最大のメリットは、「株式相場の影響を最小限に抑えることができる」という点です。

仮に「アステラス製薬のロング」のみを保有していた場合、株式相場全体が急落した際に、相場に連動してアステラス製薬の株価も下落、損失を被る可能性があります。その際、「医薬品ETFのショート」を組み合わせていれば、医薬品指数の下落分は医薬品ETFのショートポジションが吸収するため、「医薬品指数に対するアステラス製薬の上昇分(グラフの赤い矢印)」が利益となります。但し、上記期間のチャートでは赤の矢印がほとんどプラス(利益)でしたが、株価次第でマイナス(損失)になる場合もあります。

また、「武田薬品工業のショート」のみを保有していた場合も、株式相場の影響で株価が上昇した際には損失が発生しますが、「医薬品ETFのロング」を組み合わせていれば、医薬品指数の上昇分は医薬品ETFのロングポジションが吸収することで、「医薬品指数に対する武田薬品工業の下落分(グラフの青い矢印)」が利益となります。但し、上記期間のチャートでは青の矢印がほとんどプラス(利益)でしたが、株価次第でマイナス(損失)になる場合もあります。

このように、個別銘柄とETFを組み合わせて取引することで、株式相場の影響をヘッジした投資が可能になります。
なお、ここでは医薬品ETFを例に挙げましたが、TOPIX 等の日本株指数でヘッジすることも選択肢の一つになるでしょう。
また、組み合わせた2銘柄が同じ値動きをした場合(例:アステラス製薬・業種別ETFともに株価が上昇)、得られる収益が少なくなる点は注意が必要です。

個別銘柄×ETFのロング・ショート取引例②米国株ETF

東証市場には様々な指数に連動するETFが上場していますので、自分が投資中の個別銘柄に合うETFを見つけることができます。応用編として、米国株相場を見てみましょう。下のグラフは、米国株の主要なハイテク銘柄とNEXT FUNDS NASDAQ-100®ETF(1545)の株価推移をまとめたものです。

株価推移(2018年1月~2018年12月) ※年初の株価を100として指数化

etf_303_img03.png(出所)筆者作成

上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定銘柄の売買などの推奨、価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。また、ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

NASDAQ-100®指数は別名「ハイテク株指数」とも呼ばれ、グラフの5銘柄(アップル・アマゾン・マイクロソフト・アルファベット(グーグル)・フェイスブック)が組入比率の約4割を占めています。ハイテク株への成長期待は依然として高く、投資家の皆様にも人気の銘柄ですが、米中貿易摩擦の影響もあり、米国株相場は不透明感が強い状況が続いています。現在、米国株は信用取引の取扱いがありませんが、東証上場のNASDAQ-100®ETF(1545)を信用売りすることで、個別銘柄を売却せずに米国株相場のリスクヘッジが可能です。「ハイテク銘柄のロング×NASDAQ-100®ETF(1545)のショート」も投資手法の一つになりうるでしょう。

まとめ

個別銘柄×ETFのロング・ショート取引

  • メリット:個別銘柄に及ぼす株式相場の影響をヘッジ可能。業種別ETF等を活用することで、より精緻なヘッジが可能。
  • デメリット:個別銘柄とETFがともに同じ値動きをした場合、収益が減少。

次回は「レバレッジ・インバースETFの信用取引活用法」について解説いたします。

(2019年3月作成)

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