マーケットのトレンドに投資する ~ETF×信用取引の活用法~(第4回)

レバレッジ・インバースETFの信用取引活用法

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レバレッジ・インバースETFとは?

今回のテーマは『レバレッジ・インバースETFの信用取引活用法』です。
レバレッジ・インバースETFとは、「対象指標との連動性の比率(レバレッジ)が1ではないETF」のことです。一例として、「日経平均株価に連動するETF」はレバレッジが異なる4つに分類できます。

日経平均株価連動ETFの銘柄例

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レバレッジ・インバースETFは「レバレッジを効かせた投資」「逆張り投資」が手軽にできるため、投資家の人気が高く、ETFの売買代金ランキングを見ると多くの銘柄が上位にランクインしています。

ETFの売買代金ランキング(2018年)※売買代金は立会内外合計

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(出所)東京証券取引所の資料を元に筆者作成

売買代金を見ると、1位の日経平均レバレッジ指数ETF(1570)、2位の日経均ダブルインバース指数ETF(1357)は3位以下のETFを大きく引き離しており、投資家の中で頻繁に売買されている人気が高いETFだということが分かります。

現在、日本のETFのレバレッジは最大2倍ですが、信用取引で売買することで、レバレッジを最大6.6倍まで高めることが可能になります。レバレッジ・インバースETFの仕組みや詳細な説明は、売買ランキングの常連!レバレッジ(ブル)型ETF・インバース(ベア)型ETFレバレッジ指数ETF、ダブルインバース指数ETFとは何か、レバレッジETFの信用取引についてはETF投資に信用取引を活用しよう!のページをご参照ください。

レバレッジETFの特徴

レバレッジETFの特徴は、「日々の変動率に連動するため、長期間保有する場合は原指数のパフォーマンスから乖離が発生する」という点です。下の図表は、日経平均レバレッジ・インデックス(日経平均株価の変動率の2倍で連動)を例にして原指数との乖離を表したものです。

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基準日から3日目の価格を比較すると、日経平均株価(緑色)は上昇・下落を経て基準日と同じ100に戻りましたが、日経平均レバレッジ・インデックス(橙色)は98.6となり、原指数(日経平均株価)と比較して減価しています。
このように、レバレッジETFは日々の変動率に連動するため、「原指数が上昇・下落を繰り返す場合、原指数に劣後する」という点がポイントとなります。

レバレッジ・インバースETFの信用取引投資法

それでは、レバレッジETFの特徴を活かした信用取引の投資法を考えていきましょう。
下のグラフは、2018年の日経レバレッジ指数ETF(1570)日経ダブルインバース指数ETF(1357)を比較したものです。

日経レバレッジ指数ETF(1570)・日経ダブルインバース指数ETF(1357)の株価推移【2018年】

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(出所)筆者作成

※上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定銘柄の売買などの推奨、価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。また、ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

2012年のアベノミクス開始以降、日経平均株価は上昇を続けていましたが、昨年は米中貿易摩擦の影響等により、年間騰落率では7年ぶりの下落となりました。
このグラフで注目したいのは、それぞれの指数の騰落率の乖離です。上のグラフと下の表を比較してご覧ください。

各指数の年間騰落率【2018年】

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(出所)筆者作成

※上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定銘柄の売買などの推奨、価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。また、ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

「レバレッジを効かせて日経平均株価の下落に投資」をする場合、一般的には「日経ダブルインバース指数ETFの信用買い」が考えられるかと思います。しかし、レバレッジETFの特徴(原指数が上昇・下落を繰り返す場合、原指数に劣後)が影響を与えた結果、日経平均株価の騰落率(-19%)から単純計算した日経ダブルインバース指数ETFの騰落率(+38%)と比較すると、実際の騰落率(+28%)は10%下回っていることが分かります。

そこで、今回提案する手法は『株価の下落に投資=レバレッジETFの信用売り』というものです。これは、原指数に劣後する特徴を活かし、ダブルインバースの信用買いよりも高いパフォーマンスを目指すものです。
実際のパフォーマンスを確認しましょう。年初に日経レバレッジ指数ETFの信用売りをした場合、単純計算した騰落率(-38%)と実際の騰落率(-35%)の乖離は3%となり、日経ダブルインバース指数ETFの乖離(10%)に比べると良いパフォーマンスだったことが分かります。

「ダブルインバースETFの信用買いvsレバレッジETFの信用売り」のパフォーマンス比較は株式相場の推移に左右されるため必ずしも当てはまらないものの、上昇・下落を繰り返しつつ下落するような相場の場合、レバレッジETFの信用売りの方が良いパフォーマンスが期待できます。

次に、日経平均株価が上昇した2015・2016・2017年の株価推移・騰落率を見てみましょう。

日経レバレッジ指数ETF・日経ダブルインバース指数ETFの株価推移【2015年】

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(出所)筆者作成

※上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定銘柄の売買などの推奨、価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。また、ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

日経レバレッジ指数ETF・日経ダブルインバース指数ETFの株価推移【2016年】

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(出所)筆者作成

※上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定銘柄の売買などの推奨、価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。また、ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

日経レバレッジ指数ETF・日経ダブルインバース指数ETFの株価推移【2017年】

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(出所)筆者作成

※上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定銘柄の売買などの推奨、価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。また、ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

2015~2017年の日経平均株価の年間騰落率はいずれもプラスでしたが、日経平均株価と日経レバレッジ指数ETF・日経ダブルインバース指数ETFの乖離率を比較すると、
2015年:日経レバレッジ指数ETFの信用買い(-3%)vs日経ダブルインバース指数ETFの信用売り(+12%)
2016年:日経レバレッジ指数ETFの信用買い(-5%)vs日経ダブルインバース指数ETFの信用売り(+25%)
2017年:日経レバレッジ指数ETFの信用買い(+4%)vs日経ダブルインバース指数ETFの信用売り(+1%)
という結果になりました。

2017年は日経レバレッジ指数ETF・日経ダブルインバース指数ETFのパフォーマンスに大きな差は出ませんでしたが、2015年・2016年は日経ダブルインバース指数ETFの信用売りの方が好パフォーマンスだったことが分かります。これも、レバレッジETFの特徴である「原指数が上昇・下落を繰り返す場合、原指数に劣後する」という特徴が出た結果です。

これらの結果から、『株価の上昇に投資=ダブルインバースETFの信用売り』も、信用取引を活用した投資手法と言えるでしょう。
(注:信用取引には、金利・貸株料等のコストが別途発生いたします。)

レバレッジ・インバースETFの信用取引残高

ここまで、レバレッジ・インバースETFの信用取引投資法として、
①上昇相場の投資手法:ダブルインバースETFの信用売り
②下落相場の投資手法:レバレッジETFの信用売り
をご紹介いたしました。

実際にレバレッジETFの信用売りがどの程度活用されているか、信用取引残高の推移から見てみましょう。
下のグラフは、2018年の日経レバレッジ指数ETF(1570)の制度信用売残高、日経ダブルインバース指数ETF(1357)の制度信用買残高の推移をまとめたものです。

日経平均株価と日経レバレッジ指数ETF・日経ダブルインバース指数ETFの制度信用残高推移【2018年】

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(出所)筆者作成

※上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、特定銘柄の売買などの推奨、価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。また、ファンドの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

日経レバレッジ指数ETFの信用売り(茶色)日経ダブルインバース指数ETFの信用買い(青色)はどちらも「日経平均株価の下落」に投資したものですが、信用取引残高を比較すると、いずれの期間も日経レバレッジ指数ETFの信用売り日経ダブルインバース指数ETFの信用買いとなっています。つまり、『レバレッジを効かせたショート(売り)ポジションは、ダブルインバースETFの信用買いよりもレバレッジETFの信用売りの方が利用されている』ということが確認できます。

レバレッジETFの信用売りを選好する理由としては、流動性(板の厚さ)等の要因も考えられますが、投資家の皆様には「レバレッジETFの信用売り」は株価下落時の投資手法として広く利用されていると言うことができるでしょう。

まとめ

●レバレッジ・インバースETFの信用取引活用法

    • 相場上昇時:ダブルインバースETFの信用売り
    • 相場下落時:レバレッジETFの信用売り

次回は「外国株ETFの信用取引活用法」について解説いたします。

(2019年4月作成)

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