マーケット・アウトルック 米国債券

米インフレ懸念の再燃で、米10年国債利回りはレンジの上限に迫る

POINT

  • FRBは利上げペースを減速させる
  • 米10年国債利回りは低下に転じるものの、今年に入って下げ止まり
  • 米インフレ懸念が再燃し、米10年国債利回りは足元のレンジ上限を推移

FRB(米連邦準備制度理事会) は2022年にかなりの急ピッチで利上げを続けてきましたが、米インフレにピークアウト感が見られ始めたことなどから、昨年11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げペース減速を示唆し、12月と今年2月のFOMCで実際に利上げペースの減速を決めました。

こうしたFRBの政策スタンスの変化を好感して、昨秋の米10年国債利回りは低下傾向にありましたが、実際に利上げペース減速が決定された昨年12月中旬以降は米10年国債利回りは下げ止まり、今年は概ねレンジ相場で推移しています。その理由は、減速感が出てきたとはいえ米インフレが高止まりしていることから、当面の政策金利が高止まって推移すると予想されているため、長短金利差の関係から、米10年国債利回りの低下に限界が出てきたためと考えています。

3月以降は、欧米での金融システム不安が浮上したことで市場は一時リスク回避モードとなり、米10年国債利回りが大幅低下したかと思えば、足元では米インフレ懸念が再燃していることで、米利上げ打ち止め期待が後退し、足元の米10年国債利回りは上昇傾向にあります。こうした強弱両材料に挟まれながら、米10年国債利回りは今年のレンジの上限に迫っています。


期間:2021年6月1日~2023年5月31日、日次

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(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成

上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。

当レポートは、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。

野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト

阪井 徹史

Tetsuji Sakai

マーケット・アウトルック

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