ファイナンシャルプランナーが伝授する資産形成・資産活用としての株式投資(第17回)

各資産クラスのこれまでのパフォーマンス【資産形成⑰】

この記事は、約3分で読めます

これまで、株式、債券、不動産(REIT)といった代表的な資産クラスについて、なぜリターンが生まれるのか、投資の原理原則についてご説明してきました。今回は、各資産の過去のリターン実績をみていきましょう。

2006年から2019年までのリターンの実績

ここではリーマンショック前の2006年から2019年までのデータを使って、株式、債券、不動産(REIT)という3つの資産について、日本、先進国、新興国という地域ごと、合計9つの資産クラスのパフォーマンスを確認してみたいと思います。

次のグラフをご覧ください。

etf_37_img01.png

(出所)ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

このグラフは、資産クラスごとに色分けをして各年のリターンを比較しています。各年のリターンは前年の12月末から、その年の12月末までの1年間のリターンを示しています。例えば、2006年で最もパフォーマンスがよかった先進国REITの+39.5%というデータは、2005年12月末に先進国REITに投資を開始して、翌年の2006年12月末まで保有した場合のリターンを示しています。

では、グラフをもう少し詳しく見てみましょう。
何か気づくことはありますか?

一見してわかることは「特定の資産クラスのパフォーマンスが常によかったり、あるいは、常に悪かったりすることはない」ということではないでしょうか。

例えば、2006年に最もパフォーマンスがよかった先進国REITは、2007年は-12.3%と最下位、そして2008年も-45.9%と厳しい結果になっています。その後、2009年以降は2017年までプラスのリターンとなっていますが、2018年には再びマイナスに沈んでいます。

株式、債券、不動産(REIT)といった有価証券への投資は、このようにリターンのブレ(リスク、もしくはボラティリティと呼んでいます)があります。中でも、一般的にリスクが高いのは、株式や不動産(REIT)といった資産クラスで、各年のリターン上位や下位に位置することが多くなっています。一方、リスクが比較的低いのは債券です。特に日本債券の2006年から2019年までの位置を追っていくと、リターンが低位安定していることがおわかりいただけると思います。

平均リターンは落ち着いた数字に

このように見てみると、株式や不動産(REIT)、債券への投資はなんとブレの大きな投資なんだ!と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この期間のリターンを1年あたりの平均リターンとして計算した数値を見てみると、少し印象が異なるのではないでしょうか。

etf_37_img02.png

(出所)ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

ある特定の年に注目すると、+XX%、-YY%などと大きなブレになっているリターンも、ある程度の長期間にわたる平均リターンにして見てみると、いずれも落ち着いた数値となっています。つまり、短期的には大きくブレることがあるリターンも、20年、30年と長期にわたって保有することで平均リターンは安定していくということです。

毎年の大きなブレ、もっと言えば、毎日のリターンのブレはできるだけ気にせず、業種、資産、国・地域、そして時間と様々な観点で分散することでリスクをおさえながら、長期投資のスタンスで資産形成を行って頂ければと思います。

なお、本日紹介した各資産クラスに投資できるETFとしては次のようなものがあります。

TOPIX連動型上場投資信託(1306)
NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信(2510)
NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343)
NEXT FUNDS 外国株式・MSCI-KOKUSAI指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信(2513)
NEXT FUNDS 外国債券・FTSE世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信(2511)
NEXT FUNDS 外国REIT・S&P先進国REIT指数(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信(2515)
NEXT FUNDS 新興国株式・MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信(2520)
NEXT FUNDS 新興国債券・J.P.モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(為替ヘッジなし)連動型上場投信(2519)

以上、今回は資産クラスごとのパフォーマンスについてご説明させて頂きました。

次回もお楽しみに。

注)本記事におけるリターンの計算では、以下の指数のデータを使っているため、投資家の方が実際に投資信託やETFを通じて投資して得られるリターンとは必ずしも一致しません。ご留意ください。

日本株式:東証株価指数(TOPIX)
日本債券:NOMURA-BPI総合
日本REIT:東証REIT指数
先進国株式:MSCI-KOKUSAI指数(為替ヘッジなし)
先進国債券:FTSE世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジなし)
先進国REIT:S&P先進国REIT指数(除く日本・為替ヘッジなし)
新興国株式:MSCIエマージング・マーケット・インデックス(為替ヘッジなし)
新興国債券:J.P.モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(為替ヘッジなし)
新興国REIT:S&PエマージングREIT指数(為替ヘッジなし)

当資料に使用した指数について
■東証株価指数(TOPIX)、東証REIT指数は、株式会社東京証券取引所(㈱東京証券取引所)の知的財産であり、指数の算出、指数値の公表、利用など同指数に関するすべての権利は、㈱東京証券取引所が有しています。
■NOMURA-BPI総合の知的財産権およびその他一切の権利は野村證券株式会社に帰属します。なお、野村證券株式会社は、NOMURA-BPI総合の正確性、完全性、信頼性、有用性、市場性、商品性および適合性を保証するものではなく、NOMURA-BPI総合を用いて運用される当ETFの運用成果等に関して一切責任を負いません。
■MSCI-KOKUSAI指数、MSCIエマージング・マーケット・インデックスはMSCI が開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSC Iに帰属します。また、MSC Iは同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。
■FTSE世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジなし)は、FTSE Fixed Income LLCにより運営されている債券インデックスです。同指数はFTSE Fixed Income LLCの知的財産であり、指数に関するすべての権利はFTSE Fixed Income LLCが有しています。
■S&P先進国REIT指数、S&PエマージングREIT指数は、スタンダード&プアーズ ファイナンシャル サービシーズ エル エル シーの所有する登録商標です。
■J.P.モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラスは、J.P. Morgan Securities LLCが公表しているエマージング・マーケット国債を対象としたインデックスであり、その著作権および知的財産権は同社に帰属します。

(2020年1月作成)

特集:<成長投資枠>新NISAに、新定番のETF
特集:新NISAの成長投資枠は高配当ETFが新定番!

関連記事

よく読まれている記事

記事カテゴリ