マーケットのトレンドに投資する ~ETF×信用取引の活用法~(第11回)

ロング・ショート取引で荒れ相場のリスクヘッジ【ETF×信用取引⑪】

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ロング・ショート取引とは?

今回のテーマは『ロング・ショート取引で荒れ相場をリスクヘッジ』です。
ロング・ショート取引は「買い(ロング)と売り(ショート)を組み合わせて収益を狙う取引」です。

ロング・ショート取引は組み合わせ次第で様々な投資手法が考えられます。本連載の第3回では個別銘柄とETFの組み合わせ、第7回では2種類のETFの組み合わせについて考察しました。

今回は「荒れ相場をリスクヘッジするためのロング・ショート」について考えます。ロング・ショート取引は損失を抑えつつ収益を狙うディフェンシブな投資手法のため、相場が安定して上昇を続ける時期は効果が得られにくい一方、相場急変時には大きな効果を発揮します。

今年は新型コロナウイルスの影響で世界経済が大打撃を受け、株式相場も大きく下落しました。そこで今回は、第7回で提案した「米国株ETF・日本株ETFのロング・ショート」の組み合わせについて、荒れ相場でどのようなパフォーマンスを示したか確認してみましょう。

ロング・ショート取引例:米国株ETF×日本株ETF

今回取り上げる「米国株ETF×日本株ETFのロング・ショート」は、第7回「下落リスクをヘッジした投資手法~ETF×ETFのロング・ショート」で取り上げました。

下のグラフは、日本株、米国株それぞれの相場に連動するETFについて、年初からゴールデンウィーク直前までの株価推移をまとめたものです。

●株価推移
期間:2020年1月6日~5月1日 ※1月6日の株価を100として指数化

etf_311_img01.png

(出所)筆者作成

グラフを見ると、新型コロナウイルスの影響が拡大した2月中旬に株価が急落し、3月後半から現在にかけて徐々に回復していることが分かります。

ロング・ショート取引はこのような下落相場に効果を発揮します。下の表は、年初からゴールデンウィーク直前の1月6日~5月1日まで

①ETF1銘柄を保有した場合の騰落率
②ETF2銘柄をロング・ショートの組み合わせで保有した場合の騰落率

を表したものです。

①1月6日~5月1日まで保有した場合の騰落率

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(出所)筆者作成

②ETF2銘柄をロング・ショートの組み合わせで5月1日まで保有した場合の騰落率

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(出所)筆者作成

表を見比べると、二つのことを読み取ることができます。

・ロング・ショート取引の下げ相場への耐性

まず、①各ETFの騰落率を見ると、NASDAQ-100®ETF(1545)は年初の水準まで株価を戻していますが、NYダウ30種ETF(1546)日経225上場投信(1321)TOPIX上場投信(1306)はいずれも10%以上の下落となっています。

一方、②ロング・ショート取引の騰落率を見ると、日本株(日経225上場投信(1321)TOPIX上場投信(1306))ロング・NYダウ30種ETF(1546)ショート(表のオレンジの箇所)は+1.7%、NYダウ30種ETF(1546)ロング・日本株(日経225上場投信(1321)TOPIX上場投信(1306))ショート(表の黄色の箇所)は-1.7%と、株価急落のダメージを回避できています。

・1545(NASDAQ-100®)の好調なパフォーマンス

4つのETFの中でも、NASDAQ-100®ETF(1545)は急激な回復を見せており、既に年初と同じ株価まで値を戻しています。

NASDAQ-100®指数は別名「ハイテク株指数」と呼ばれ、GAFAM(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフト)の5銘柄が組入比率の4割を占めています。
新型コロナウイルスによる世界経済の停滞が懸念される中、アマゾンを筆頭にGAFAMは堅調な推移を見せており、市場からの根強い成長期待が窺えます。新型コロナウイルス影響下における米国株への分散投資として、NASDAQ-100®ETF(1545)は非常に良い選択肢と言えるのではないでしょうか。

●GAFAMと1545(NASDAQ-100®ETF)の株価推移
期間:2020年1月6日~5月1日 ※1月6日の株価を100として指数化

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(出所)筆者作成

年初からのパフォーマンスを見ると、市場を分散して荒れ相場のリスクをヘッジしつつ、プラスのパフォーマンスを維持するための組み合わせとして、

NASDAQ-100®ETF(1545)のロング×日本株(日経225上場投信(1321)TOPIX上場投信(1306))のショート」

が有効だったと言えます。(日本株ETFのショートは日経インバース指数ETF(1571)などのインバース型ETFでも代替可能です。)

米国株に直接投資する場合、外国株の取引口座開設やドルへの両替など、取引までに少々手間がかかりますが、ETFを活用することで、日本株と同様の取引で米国株の利益を享受することができます。

まとめ

今回は日本株ETFと米国株ETFを利用した投資手法を紹介しましたが、東証には様々な指数に連動するETFが上場していますので、投資家の皆様が日頃ウォッチして相場観がある個別銘柄とETFの組み合わせも考えられます。

一例として、

・新型コロナウイルスの影響による東証REIT指数の急落
 ⇒ホテルREITやオフィスREITと比較して物流REITが底堅い動き
 ⇒個別株の物流REITをロング×東証REIT指数ETF(1343)をショート

という組み合わせも一案ではないでしょうか。

足下の相場は回復傾向ですが、新型コロナウイルスの影響は今後も不透明なため、二番底への警戒も引き続き必要な局面です。

更なる相場急変に備えてロング・ショート取引を活用いただき、皆様の投資の幅が広がれば幸いです。

(2020年6月作成)

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