中国の景気不安と中東での地政学リスクなどに一喜一憂する展開に
POINT
- 2022年後半の原油先物相場は下落基調で推移
- 70米ドル以下では米国の戦略石油備蓄補充の需要が下支え
- 2023~24年は70~90米ドル程度のレンジ内で推移
2022年後半のWTI原油先物相場は下落基調で推移しました。100米ドル/バレルを超えるような高すぎる原油価格では、米国中心にガソリン需要が大きく冷え込んだほか、金融引き締めに伴う世界的な景気減速や中国のゼロコロナ政策で原油需要が減少するとの警戒も加わり、70米ドル台まで下落しました。
但し、原油価格は生産コストなどから推測される水準で下げ止まる傾向があることに加え、70米ドル以下では米国の戦略石油備蓄補充の需要があることから、2023年の原油先物相場は70~80米ドル程度で推移してきました。9月には産油国による協調減産や原油先物市場の一時的な需給混乱から、90米ドルを超える局面もありましたが、中国景気への不安などが根強く、70~80米ドルのレンジに戻りました。
最近は、中国景気不安などに伴う原油需要の減退リスクが相場の頭を押さえる一方、紅海を中心とした中東地域での地政学リスクやOPEC(石油輸出国機構)プラス諸国による自主減産の延長などによって、原油供給が細るとの警戒が相場の下支え要因となり、70~80米ドルでのレンジ相場が続いています。
期間:2022年3月1日~2024年2月29日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当レポートは、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
よく読まれている記事
-
ETFとは?ETF(上場投資信託)のしくみやメリット・デメリット、投資信託との違いを解説ETFとは、日経平均株価やTOPIX、S&P500等の指数に連動するように運用さ…
-
波乱含みの7-9月期の資金フローから見た投資家動向日経平均の大幅下落など変動の激しかった2024年7-9月期。ETFの資金フローを…
-
Jリートの今後の見通しは?見直されるべきと改めて考える3つの理由パフォーマンスの低迷が続くが取り囲む環境は回復傾向にあるJリートについて、今こそ…
-
円金利の長期的上昇に乗る銀行株2023年以降、上昇基調にある日本10年国債利回りの影響を大きく受けている銀行株…
-
馬渕磨理子氏 出演!「日経大人のマネー講座~あなたはどっち派?半導体株VS高配当株~」のアーカイブ動画配信スタート!!2024年6月24日に開催された、「日経大人のマネー講座~あなたはどっち派?半導…
-
配当利回りが魅力の高配当株ETF(解説動画あり)高配当株ETFは、高配当銘柄で構成された指数に連動するETFで、一般的な日本株E…