配当利回りが魅力の高配当株ETF(解説動画あり)

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わかりやすく動画で解説

新NISAを機に高配当株ETFへの関心が高まっています。本稿では、高配当株の魅力やETFで高配当株に投資するメリットやデメリット、分配金実績についてご紹介します。

高配当株の魅力

定期収入(不労所得)が期待できる

高配当株とは、配当利回りの高い株式を指します。配当利回りは、一株あたりの年間配当金を、現在の株価で割って求めます。高配当株を保有していると、定期的に安定した配当金を受け取ることが期待できます。なお、通常なら分配金から20.315%引かれる税金が、NISA口座であれば非課税で分配金を受け取れます。

配当金は資産を積み上げるだけでなく、生活費に充てたり、趣味や旅行に使ったり、様々な活用方法が考えられます。また、買い時以上に売り時が難しいと言われる株式投資も、高配当株であれば、安定的な配当金を得ながら、値上がり益をねらうことが可能です。

パフォーマンスにも注目

過去のシミュレーションによると、配当利回りが高い銘柄へ投資するポートフォリオ(配当利回り上位ポートフォリオ)は、相対的に高いパフォーマンスとなったことが分かります。
高配当の企業は、安定した収益基盤、株主への高い利益還元姿勢などの特徴があるとみられ、経済環境や社会構造が変化しても、持続的な成長ができると考えられます。

(図表1)配当利回り上位・下位ポートフォリオのパフォーマンス推移
期間:1995年1月~2023年6月末、月次

配当利回り上位・下位ポートフォリオのパフォーマンス推移

配当利回り上位・下位ポートフォリオの算出条件
対象銘柄 :各月初時点のTOPIX構成銘柄を母集団とし、予想配当利回りの水準を基に銘柄数が等しくなるように分位した上位50%および下位50%のポートフォリオ
パフォーマンス :等金額投資で前月末株価を使用して月次リバランス、配当込みの累積リターン
予想配当 :各月初時点における、原則として野村證券予想(東洋経済新報社予想にて補完)
その他 :業種分散、取引コスト、税金等の考慮なし
*上記は過去の市場指数の値に基づいた算出結果であり、ETFの運用実績ではありません。なお、各指数そのものに投資することはできません。

(出所)野村證券のデータを基に野村アセットマネジメント作成

拡大する株主還元(配当+自社株買い)

日本企業全体での株主還元額(「配当+自社株買い*」総額)は増加傾向にあります。近年、東京証券取引所が上場企業のPBR(株価純資産倍率)の1倍割れなどの是正を目指し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請していることもあり、今後も増配や自社株買いを積極的に行う企業が増えることが期待されています。

*自社株買いは、株式会社が過去に発行した株式を自らの資金を使って直接買い戻すことを指し、基本的に株価の上昇要因になります。

(図表2)株主還元額(配当+自社株買い)の推移
期間:1996年度~2023年度

株主還元額(配当+自社株買い)の推移

(注)対象は全上場企業で、自社株買いは整理回収機構からの購入、優先株式の買戻しを除く普通株式ベース。
2023年度は自社株買い、配当ともに2023年3月末日時点の野村證券予想値。

(出所)野村證券株式会社データを基に野村アセットマネジメント作成

ETFで高配当株に投資するメリット・デメリット

高配当株への投資は、もちろん個別株でもできますが、長期で安定的に配当収入を受け取るためには、定期的に銘柄の入れ替えが行われるETFを活用する方法もあります。高配当銘柄にETFで投資するメリット・デメリットについて確認しておきましょう。

高配当株ETFのメリット(特色)

分散投資でリスクを抑えつつ分配金を受け取ることが期待できる
個別株で高配当株に投資する場合、選んだ銘柄が「減配/無配」となった場合や、「収益悪化」した場合に大きな影響を受けることになります。ETFは複数の銘柄にまとめて投資をするため、ひとつのETFを買うことで複数の高配当株式に分散投資をすることができ、リスクを抑えながら分配金*を受け取ることが期待できます。
*配当金と分配金の違い:配当金とは企業が株主に分配する利益のことです。一方、分配金とはETFを含む投資信託が決算時(年に1回以上)に収益の一部を投資家にお支払いするものです。


ETFは全額分配する仕組み
ETFの場合、決算期間中に発生した利子や配当など(インカムゲイン)が分配金として支払われますが、ETFが組入れた株などの売却益(キャピタルゲイン)は分配金となることはありません。そのためETFは、元本が払い戻しとなる特別分配金(元本払戻金)がないため、配当などの収益のみを分配金として受け取ることが出来ます。
詳細はこちら(ETFの分配金のしくみと利回り)


手軽に高配当株への投資を続けることができる
インデックス型(指数連動型)のETFは、対象とする指数のルールにあわせて定期的に銘柄の入れ替えが行われます。例えば配当利回りが高い株式に投資を行うETFの場合、配当利回りが低下した銘柄はETFから除外され、代わりに配当利回りが高い銘柄が追加されるなどの入れ替えが定期的に行われます。また、アクティブ型のETFの場合には運用者が銘柄を選定、入れ替えます。
そのため、投資家がご自身で、配当利回りの高い個別銘柄を調査・分析して選んだり、業績の悪化などで配当金が減額となった企業を売却したりする必要がなく、手軽に高配当株投資を続けることが出来ます。

高配当株ETFのデメリット(留意点)

分配金が自動的に再投資されない
ETFの分配金は自動で再投資する仕組みがないため、相対的に高い分配金が期待できる高配当株ETFにおいても分配金の再投資を希望する場合には、ご自身で買い付けを行う必要があります。


高配当株は成長企業が限定的
高配当株ETFの場合には、比較的成熟した業績的にも安定的な大企業で構成されていることが多く、業績や株価などで急成長を期待できる企業は少ないといえます。また、金融など配当利回りが高い特定の業種への偏りが見られる場合もありますので、月次レポート等で業種別配分や組入銘柄を確認しておくとよいでしょう。

高配当株に投資する投資信託とETFはどっちが良いのか

高配当株にまとめて投資する手段として、投資信託とETFがあります。ETFは分配金を自動で再投資できないため、受け取った分配金を再投資したい方は投資信託の方が使いやすいと言えます。

一方、ETFは、上述の通り、特別分配金(元本払戻金)がないため、配当などの収益のみを分配金として受け取ることが出来ます。また、株式同様、リアルタイムで売買したり、値段を指定して売買したり出来るため、普段個別株に投資されている方や、価格を見ながら取引したい方に使いやすい商品と言えます。

高配当株ETFの分配実績とパフォーマンス

野村アセットマネジメントが運用するETF「NEXT FUNDS」では、高配当日本株ETFを4銘柄ご提供しています。


商品概要比較(図表3)

インデックス型(指数連動型)アクティブ型
銘柄名NF・日経高配当50 ETFNF・日本株高配当70 ETFNF・株主還元70 ETFNF・日本高配当株アクティブETF
銘柄コード1489157725292084
対象指標日経平均高配当株50指数野村日本株高配当70野村株主還元70-
特色

日経平均構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄で構成

今期予想配当利回りが高い70銘柄で構成配当や自社株買い等、積極的に株主還元を行なっている70銘柄で構成※金融・保険業を除く安定的な配当をベースにトータルリターンの獲得を狙う。ポートフォリオの配当利回りは約4.0%(2023年12月末時点)
構成上位
5銘柄
川崎汽船
商船三井
日本たばこ産業
日本製鉄
日本郵船
川崎汽船
日本郵船
商船三井
住友林業
出光興産
アドバンテスト
川崎汽船
三菱商事
本田技研工業
大和ハウス工業
三菱UFJフィナンシャル・グループ
三井物産
三井住友フィナンシャルグループ
日本たばこ産業
伊藤忠商事
純資産残高1,642億円947億円249億円75億円
売買単位1口1口1口1口
最低投資金額2,000円前後*32,000円前後1,500円前後2,000円前後
分配金支払い基準日毎年1月、4月、7月、10月の各7日(年4回)
信託報酬率0.308%0.352%0.308%0.5225%
上場日2017/2/132013/3/72019/4/192023/9/7

2023年12月末時点
*(1489)NF・日経高配当50 ETFは、2024年1月19日に受益権口数1口につき30口の割合で分割を行なったため調整後の値

(出所)野村アセットマネジメント作成

NF・日本高配当株アクティブETFについての詳細はこちら

分配金実績(図表4)

下記では、日本の株式市場を代表する指数の1つであるTOPIXや日経225のETFとインデックス型の高配当日本株ETFの過去の分配金実績を比較しています。

当該期間の高配当日本株ETFの分配金利回りはどれも3%以上と、TOPIX ETFや日経225 ETFよりも高い利回りとなりました。例えば、NF・日経高配当50 ETF(1489)の分配金利回りは3.6%で、これは当ETFを100万円分保有していた場合、1年後に受け取った分配金は3.6万円であったことになります。(費用・税金等は考慮していません。)

日本株ETF高配当日本株ETF
証券コード13061321148915772529
ETF愛称・略称NF・TOPIX ETFNF・日経225 ETFNF・日経高配当50 ETFNF・日本株高配当70 ETFNF・株主還元70 ETF
対象株価指数TOPIX
(東証株価指数)
日経225
(日経平均株価)
日経平均高配当株50指数野村日本株高配当70野村株主還元70
基準価額(1口当たり)2,476円34,706円57,830円31,783円1,497円
分配金支払い基準日毎年7月10日
(年1回)
毎年7月8日
(年1回)
毎年1月、4月、7月、10月の各7日(年4回)
過去1年の分配金実績(1口当たり、課税前)52円576円2,108円1,081円45円
分配金利回り2.1%1.7%3.6%3.4%

3.0%


基準日:2023年12月29日
※基準価額は10口や100口当たりで表示されていることもあります。
・過去1年の分配金実績は、基準日までの1年間に支払われた分配金(課税前)の合計値です。また、分配金利回りは、過去1年の分配金実績を基準日の基準価額で除したものを使用しています。
・分配金額は、信託財産から生ずる配当等収益から経費を控除後、全額分配することを原則とします。ただし、分配金がゼロとなる場合もあります。また、売買益が生じても、分配は行ないません。
上記は過去の運用実績であり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
・分配金実績は、将来の分配金の水準を示唆あるいは保証するものではありません。

(出所)野村アセットマネジメント

分配金利回りの推移(図表5)

図表5では、過去3年間の各ETFの分配金利回りを示しています。高配当日本株ETFは、日経225ETFと比べて高い分配金利回りで推移していることが分かります。特にNF・日経高配当50 ETFを見てみると、2022年秋には5%を超える時期もありました。

分配金利回りの推移

期間:2021年1月末~2023年12月末、月次
上記は過去の運用実績であり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

(出所)野村アセットマネジメント

各指数のパフォーマンス(図表6)

上記の3つのETFが連動する高配当株指数と、TOPIX、日経225の過去約10年のパフォーマンスを見ると、高配当株指数は高水準の利回りに支えられ、長期的に上昇してきたことが分かります。

各指数のパフォーマンス

期間:2013年12月末~2023年12月末、月次
※配当込み指数を使用。

(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成

NF・日経高配当50 ETFのインカムゲインとキャピタルゲイン

図表7は、NF・日経高配当50 ETF(1489)の設定来(2017年2月~)のパフォーマンスをインカムゲイン(分配金収入)とキャピタルゲイン(価格変動)に分解して表したものです。

長期的には、高水準で安定したインカムゲインの積み上げが、投資全体パフォーマンス(トータルリターン)に対して大きく寄与しており、株価下落局面では、インカムゲインがパフォーマンス悪化の下支えになっていました。

(図表7)インカムゲイン(分配金収入)とキャピタルゲイン(株価変動)
~NF・日経高配当50 ETF(1489)の設定来パフォーマンスを分解~


インカムゲイン(分配金収入)とキャピタルゲイン(株価変動)


期間:2017年2月10日(当初設定日)~2023年12月末、月次・累計
① インカムゲイン:設定来の分配金を累計
② キャピタルゲイン:当初設定基準価額に対する一口当たり基準価額騰落率
③ トータルリターン:当初設定基準価額に対する一口当たり基準価額(分配金再投資ベース)騰落率
※グレー部分は、分配金再投資ベースのトータルリターンからインカムゲインとキャピタルゲインを除いたもので、ここでは再投資効果としている
※グラフ算出に用いた設定来の基準価額推移や分配金支払い実績などのデータは、「NF・日経高配当50 ETF(1489)紹介ページ」のヒストリカル・データからダウンロード可能です。

(出所)NF・日経高配当50 ETF(1489)のヒストリカル・データを使って野村アセットマネジメント作成

一概に「高配当株ETF」と言っても、対象とする指数や運用方法により構成銘柄やパフォーマンスが異なります。指数の銘柄組入れ基準や、含まれる業種、上記のパフォーマンスなどを比較して選択すると良いでしょう。

各銘柄の目論見書や月次レポート、著作権等の詳細は、以下にてご確認ください。

(1489)NF・日経高配当50 ETF
(1577)NF・日本株高配当70 ETF
(2529)NF・株主還元70 ETF
(2084)NF・日本高配当株アクティブETF

※上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、ETFの運用実績ではありません。 ETFの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。

(2024年1月29日更新/2019年11月作成)

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