マーケット・アウトルック 米国債券

欧米の金融システム不安が和らぎ、債券利回りは安定的に推移

POINT

  • FRBは利上げペースを減速させる
  • 米国債利回りは低下に転じるものの、今年に入って下げ止まり
  • 欧米で金融システム不安が台頭したが、当局の迅速な対応で不安は後退

FRB(米連邦準備制度理事会) は2022年にかなりの急ピッチで利上げを続けてきましたが、米インフレにピークアウト感が見られ始めたことなどから、昨年11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げペース減速を示唆し、12月と今年2月のFOMCで実際に利上げペースの減速を決めました。

こうしたFRBの政策スタンスの変化を好感して、昨秋の米10年国債利回りは低下傾向にありましたが、実際に利上げペース減速が決定された昨年12月中旬以降は米10年国債利回りは下げ止まっています。その理由は、減速したとはいえ政策金利であるFFレート(誘導目標上限値)の引き上げはまだ続くと予想されているため、この先も長短金利の逆転幅が広がり、米10年国債利回りの低下に限界が出てきたためと考えています。米10年国債利回りが更に低下するためには利下げを待つ必要がありそうです。

3月には米地域金融機関が突然の経営破綻となり、欧州大手銀行の経営不安が高まると、市場は一時リスク回避モードとなり、債券利回りが大幅低下しました。しかし、欧米の政策当局による迅速な対応によって不安は徐々に解消に向かい、足元にかけては債券利回りは安定しています。但し、今後は銀行規制が強化されることとなり、規制強化が将来の景気減速につながるとの警戒は残る可能性がありそうです。


期間:2021年5月3日~2023年4月28日、日次

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(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成

上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。

当レポートは、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。

野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト

阪井 徹史

Tetsuji Sakai

マーケット・アウトルック

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