好調な米労働市場や米景気を受けて、米10年国債利回りは4%超へ再上昇
POINT
- FRBは利上げペースを減速させる
- 米10年国債利回りは低下に転じるものの、今年に入って下げ止まり
- 米高金利政策の長期化への警戒が高まり、米10年国債利回りは再上昇
FRB(米連邦準備制度理事会) は2022年にかなりの急ピッチで利上げを続けてきましたが、米インフレにピークアウト感が見られ始めたことなどから、昨年11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げペース減速を示唆し、12月と今年2月のFOMCで実際に利上げペースの減速を決めました。
こうしたFRBの政策スタンスの変化を好感して、昨秋には政策金利の引き上げが続く中でも、米10年国債利回りの上昇は止まり、一時は低下傾向にありました。但し、実際に利上げペース減速が決定された昨年12月中旬以降は米10年国債利回りは下げ止まり、今年前半は概ねレンジ相場で推移しました。その理由は、米インフレは足元では減速感が出てきた一方、中長期見通しは高止まりしており、政策金利引き下げ期待が後退し、長短金利差から米10年国債利回りの低下に限界が出てきたためと見られます。
今年3月以降は、欧米での金融システム不安浮上や、米連邦債務上限問題に絡む景気減速懸念などから、米10年国債利回りが低下する局面もありました。しかし、米労働市場が非常に強いことや米景気が底堅く推移していることなどから、7~8月には米10年国債利回りは上昇基調となり、8月末には4%超へ再上昇しました。
期間:2021年9月1日~2023年8月31日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当レポートは、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
よく読まれている記事
-
ETFとは?ETF(上場投資信託)のしくみやメリット・デメリット、投資信託との違いを解説ETFとは、日経平均株価やTOPIX、S&P500等の指数に連動するように運用さ…
-
トランプ次期政権と良い相性が期待できる日本株の業種は?トランプ氏の大統領返り咲きをうけ、その施策から影響を受けそうな業種について過去の…
-
Jリートの今後の見通しは?見直されるべきと改めて考える3つの理由パフォーマンスの低迷が続くが取り囲む環境は回復傾向にあるJリートについて、今こそ…
-
馬渕磨理子氏 出演!「日経大人のマネー講座~あなたはどっち派?半導体株VS高配当株~」のアーカイブ動画配信スタート!!2024年6月24日に開催された、「日経大人のマネー講座~あなたはどっち派?半導…
-
配当利回りが魅力の高配当株ETF(解説動画あり)高配当株ETFは、高配当銘柄で構成された指数に連動するETFで、一般的な日本株E…
-
NF・日本株気候変動ETF上場2024年12月3日、NEXT FUNDSより新たにNF・日本株気候変動ETFが…