米インフレに鎮静化が見え始めたことを受け、11月の米10年国債利回りは急低下
POINT
- インフレ減速を受け、昨年末からFRBは利上げペースを減速させる
- 米10年国債利回りは低下に転じるものの、今年に入って下げ止まり
- 3月以降は米高金利政策長期化への警戒で一時5%を超えるも、足元で急低下
FRB(米連邦準備制度理事会) は2022年にかなりの急ピッチで利上げを続けてきましたが、米インフレにピークアウト感が見られ始めたことなどから、昨年11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げペース減速を示唆し、12月と今年2月のFOMCで実際に利上げペースの減速を決めました。
こうしたFRBの政策スタンスの変化を好感して、昨秋には米10年国債利回りの上昇が一旦は止まり、一時は低下局面もありました。但し、実際に利上げペース減速が決定された昨年12月中旬以降は米10年国債利回りは下げ止まり、今年前半は概ねレンジ相場で推移しました。その理由は、米インフレの中長期見通しは高止まりしており、高金利政策の長期化観測が高まったことなどがあげられます。
今年3月以降は、欧米での金融システム不安浮上や、米連邦債務上限問題に絡む景気減速懸念などから、米10年国債利回りが低下する局面もありました。しかし、米景気が底堅く推移していることや、国債増発による需給悪化懸念などから、7~10月には米10年国債利回りは上昇基調となり、一時は5%を上回りました。ところが、11月に入って米インフレの鎮静化が見られ始めたことを受け、利回りは4%台前半へ急低下しました。今後も、米インフレや景気動向に左右される展開が続きそうです。
期間:2021年12月1日~2023年11月30日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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