日銀による予想外の金融政策修正にマーケットは動揺
POINT
- 米ドル円相場は続落(円高米ドル安)
- 日銀が予想外の金融政策修正を決定
- 今後の注目は米労働市場の行方
昨年3月以降、急ピッチで上昇してきた米ドル円相場ですが(円安米ドル高)、10月中旬に一時150円台に載せて以降は、円高米ドル安に反転し、足元では水準を切り下げて130円程度で推移しています。
これまでの円安米ドル高の原動力になっていた日米の金融政策の違いに変化が見られ始めており、米インフレ動向が落ち着いてきたことで、12月には、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げペースを減速し始めたことに加え、日銀がこれまでの超金融緩和路線からの転換とも思われる政策修正を行ないました。その結果、米国債利回りに低下期待が、日本国債利回りに上昇期待が浮上したことで、日米の市場金利差の縮小期待が進み、円高米ドル安が加速したと思われます。
今後については、日銀が続けて修正に動くとは考えにくく、米国側の労働市場が注目されると考えています。人件費高騰の影響で米サービス価格インフレが進んでいますが、昨今発表されている米テクノロジー企業によるリストラが米労働市場にどの程度の影響を与えるかについて注目が必要です。労働市場のひっ迫感が和らげば、賃金インフレが鈍化し、米インフレのいっそうの鈍化につながり、円高米ドル安が進みそうです。
期間:2021年1月1日~2022年12月30日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当レポートは、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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