米インフレの減速が進まず米利下げ期待が後退、円安米ドル高が進行
POINT
- 米ドル円レートは2022~23年に130~150円程度で推移
- 米ドル円レートを動かしてきた日米金融政策
- 2024年は日銀の緩和的政策が続くとの観測で一時160円へ
2022年に日米金利差の急拡大などを背景に急ピッチで円安米ドル高が進みましたが、10月中旬に一時150円台に乗せた直後から円高米ドル安に反転し、その後水準を切り下げて一時は130円を割り込みました。但し、2023年に入って以降は再び円安米ドル高が進み、10月に再び150円台に乗せ、11月には一時151円台まで米ドル高が進み、2022年秋の水準を若干上回りました。
このような米ドル円レートの動きの背景には、日米の金融政策への市場の見方が変化してきたことがあります。2022年夏ごろまでは米利上げ加速への警戒が支配的でしたが、同年秋以降は米利上げの早期終了と日銀による超金融緩和政策の修正期待が高まりました。しかし、2023年に入ると、米インフレが予想以上に長引き米利上げ終了期待が後退した一方、日銀による緩和政策継続観測が再浮上しました。
2023年11月下旬以降は、日米両中央銀行による金融政策に関する思惑が、金融政策決定会合を通過するたびに微妙に変化し、140~150円程度で上下に振れながら推移しました。しかし、2024年4月の日銀金融政策決定会合を経て、日銀による緩和的政策が当面続くとの観測が再び優勢となり、会合後には一時160円台に乗せる円安米ドル高になりました。その後も米インフレの減速ペースが鈍いことなどから、利下げ期待が日に日に後退し、足元では150円台後半で高止まっています。
期間:2022年6月1日~2024年5月31日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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