堅調な米景気、主要産油国による協調減産、中東情勢緊迫化などから原油相場は高止まり
POINT
- 原油高騰の主要因は構造的な供給制約問題
- あまりに高いガソリン価格には消費者はついてこれず
- 堅調な米景気や産油国の協調減産、中東情勢緊迫などから原油相場は高止まり
近年、地球温暖化などの世界的な気候変動問題への意識の高まりから、ネットゼロ(脱炭素社会)が叫ばれ、近未来の原油需要が大幅減少することが予想され始めました。そうした状況から、原油産業は新たな設備投資に躊躇し、老朽化設備の更新が滞ったことなどから供給制約に陥りました。そこへコロナ禍からの経済活動正常化で原油需要が回復したため、2021~22年前半にかけて原油相場は大幅に上昇しました。
一方、高すぎる原油価格は消費を圧迫し、高値ではガソリン需要が冷え込んだほか、金融引き締めに伴う世界的な景気減速や中国のゼロコロナ政策で原油需要が減少するとの警戒も加わり、需要減少への警戒から、その後は下落基調に転換しました。
足元のWTI原油先物相場は、80米ドル台で高止まりを見せています。米国景気が堅調なことやサウジアラビアなどの主要産油国が減産を続けているところに、中東情勢の緊迫化も加わり、原油供給への不安が高まった影響が出ています。但し、9月に発生した「期近物だけが上昇する」という現象は徐々に薄れており、目先の需給の混乱は収まったようです。引き続き、米景気の動向、産油国による来年以降の協調減産、中東情勢など、様々な動向を注視する必要がありそうです。
期間:2021年11月1日~2023年10月31日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当レポートは、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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