主要な原油消費国である中国の景気悪化への警戒から、原油相場は反落
POINT
- 2021~22年前半にかけての原油高騰の主要因は構造的な供給制約問題
- あまりに高いガソリン価格には消費者はついてこれず
- 2023年は、産油国の協調減産などで一時盛り返すも、中国景気不安から再び反落
近年、地球温暖化などの世界的な気候変動問題への意識の高まりから、ネットゼロ(脱炭素社会)が叫ばれ、近未来の原油需要が大幅減少することが予想され始めました。そうした状況から、原油産業は新たな設備投資に躊躇し、老朽化設備の更新が滞ったことなどから供給制約に陥りました。そこへコロナ禍からの経済活動正常化で原油需要が回復したため、2021~22年前半にかけて原油相場は大幅に上昇しました。
一方、高すぎる原油価格は消費を圧迫し、高値ではガソリン需要が冷え込んだほか、金融引き締めに伴う世界的な景気減速や中国のゼロコロナ政策で原油需要が減少するとの警戒も加わり、需要減少への警戒から、その後は下落基調に転換しました。
但し、原油価格は生産コストなどから推測される水準で下げ止まる傾向があることから、2023年のWTI原油先物相場は70~80米ドル程度で推移してきました。9月には産油国による協調減産や原油先物市場の一時的な需給混乱から、90米ドルを超える局面もありましたが、中国景気への不安などが根強く、足元では70~80米ドルのレンジに戻りました。今後も、中国をはじめとした巨大消費国の景気動向、産油国による協調減産、中東情勢などの地政学リスクなど、様々な動向を注視する必要がありそうです。
期間:2021年12月1日~2023年11月30日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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