東証改革を期待してか、堅調に推移する鉄鋼・非鉄セクター
POINT
- 鉄鋼・非鉄セクターのPBRは0.66倍
- 東証はPBRが低い企業に対して資本コストや株価を意識した経営を要望
- 大手鉄鋼会社は株主還元の意識を高める
TOPIX-17シリーズの各セクターのPBR(株価純資産倍率)を見ると、4月末時点で17業種中の7業種が1倍を割り込んでいます。その中でも、鉄鋼・非鉄、銀行、エネルギー資源、電力・ガスのPBRは0.6倍前後とかなりの低水準です。今回はこの中から鉄鋼・非鉄について分析してみます。
東証は3月末に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」というレポートをリリースし、上場企業に対し、資本収益性を向上させ、その取り組みを投資家にわかりやすく伝え、投資家による評価を高め、PBR上昇を目指すように、要望を出しました。こうした取り組みは従前より行なわれており、日本企業の多くは収益性向上や投資家による評価引き上げへの努力をしてきました。
実際に、一部の大手鉄鋼会社はこの2月に行なわれた第3四半期決算発表時に、2022年度が減益見通しの中で増配を発表するなど、市場に対して株主還元策の強化を印象付けました。株式市場はこうした経営判断を高く評価し、株価が大きく上昇しました。こうした流れが他企業にも浸透していけば、セクター全体としても堅調なパフォーマンスが期待できるでしょう。
期間:2021年5月3日~2022年4月28日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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