ETFとは?ETF(上場投資信託)のしくみやメリット・デメリット、投資信託との違いを解説
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ETF(上場投資信託)とは
ETFとはExchange Traded Fund の頭文字を取ったもので、文字通り取引所(Exchange)で、取引される(Traded)、投資信託(Fund)、のことです。日本語では「上場投資信託」といいます。
ETFは投資信託の一種ですが、一般的な投資信託とは違って取引所に上場しているため、個別の株式と同じように、証券会社を通じて取引所で売買することができるという点が最大の特徴です。
日本のETFの多くは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、S&P500等といった何らかの指数に連動するように運用されている指数連動型で、連動対象としている指数は、国内株式や海外株式だけでなく、債券、REIT(リート)、コモディティ(商品)、等その対象資産は幅広いものとなっています。
一方本数は多くありませんが、特定の指数に連動しないアクティブ運用型ETFもあります。アクティブETFは、既存ETFの特性である、保有銘柄が開示されているという透明性の高さや、取引市場においてリアルタイムに時価で売買できる利便性、非上場の投資信託よりも一般的に低コストであるといった性質を備えつつ、運用の専門家の銘柄選定によるアクティブ運用ならではの付加価値を享受することが可能なETFです。
ETFと投資信託の違い
ETFと投資信託(インデックスファンド)の最大の違いは、投資信託は1日1回算出される基準価額でしか取引できないのに対して、ETFは取引所の取引時間内に株式と同様に市場の動きを見ながらリアルタイムで取引することができることです。
別の言い方をすると、投資信託は注文を出した時点では取引される価格が分からないのに対して、ETFでは自分が取引したい価格で発注・売買することが可能です。
また、投資信託は販売会社によって扱っている商品が異なっていますが、ETFの場合、証券会社に口座があれば、欲しいETFが買えない、ということは基本的にありません。
ETFの種類
東京証券取引所には約300銘柄のETFが上場しています。ETFには、国内株式指数に連動する商品以外にも、外国株式や債券、REIT、商品(コモディティ)等様々な種類があります。また国内株式であっても、高配当、ESG、業種別など特定のテーマに投資することもできます。
主なETFの種類
種類 | 内容 |
---|---|
国内株式 | 日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など日本を代表する株価指数に連動するETFや、高配当や業種別など特定のテーマの日本株を集めた テーマ別のETFなどがあります。 |
外国株式 | 米国やインドなど、各国の株価指数に連動するETFのみならず、先進国・新興国といった複数の国・地域を組み合わせた株価指数に連動するETFなどもあります。日本円に対する為替ヘッジの有無を選べるものもあります。 |
債券 | 日本の他、米国等の国・地域別の債券市場を示す指数に連動するETFのみならず、先進国・新興国といった多くの国々の債券に分散投資ができるETFもあります。日本円に対する為替ヘッジの有無を選べるものもあります。 |
REIT | 投資家から集めた資金を主に不動産で運用する投資信託をREIT(リート)と言います。REITは、一般的に配当利回りの高さで注目されることが多い資産です。国内のREIT指数以外にも、外国のREIT指数に連動するETFもあります。 |
商品 | 金やプラチナ等の貴金属や原油価格などのコモディティ(商品)指数に連動するETFです。一般的にコモディティは、株式や債券と異なる値動きをするため、株式や債券の動きを補完する効果が期待できます。 |
レバレッジ型・ インバース型 | レバレッジ型ETFは特定の指標の日々の変動率に一定の正の倍率を乗じて算出される指標に連動します。相場の上昇局面で収益をさらに追求する場合に有効です。 |
ETFの分配金(配当金)とNISA
ETFには一般的な投資信託と同様に分配金を出す仕組みがあります。ETFは税法により、決算期間中に発生した利子や配当などの収益(インカムゲイン)から信託報酬などの費用を控除した全額を分配することになっています。
ETFの場合、組み入れた株などの売却益(キャピタルゲイン)や為替差益は分配原資となることがありません。そのため、ETFでは、インカムゲインは分配金として受け取りながら、キャピタルゲインがファンド内で得られた場合にはファンドの純資産価値の成長として期待することも可能です。
分配金が支払われる頻度は、年1回、年2回、年4回、など銘柄によって異なります。
定期的に分配金を手に入れたい方は、配当利回りが高い株式に投資している「高配当株ETF」を、分配金が非課税となるNISA(少額投資非課税制度)で活用するのも一手でしょう。詳しくは「配当利回りが魅力の高配当株ETF」をご覧ください。
なお、NISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」がありますが、「つみたて投資枠」が一定の条件を満たした投資信託等に限定されるのに対し、「成長投資枠」は、レバレッジ型などの一部を除く多くのETFや個別株式も対象です。成長投資枠の対象銘柄等詳しくは、「新NISAとETF」で解説しています。
ETFの買い方・売り方
東証上場のETFは、証券会社で購入することができます。証券会社によっては特定のETFの売買手数料を無料にしている場合もあります。
東証の取引時間は、平日の9:00~11:30と12:30~15:30です。
※15:25~15:30はリアルタイム売買ができない注文受付時間で、15:30に終値が決まります。
ETFの最低買い付け金額は、<最低売買単位 × 取引所価格>となり、千円台~数万円台まで銘柄によって異なります。
ETFには、2つの売買方法があります。売買価格を指定したい場合は「指値注文」、取引の成立を優先したい場合は、価格を指定せず数量だけを指定する「成行注文」を行うのがよいでしょう。
ETFのメリットとデメリット
ETFのメリット(特色)
①手軽に分散投資ができる
ETFの投資対象となる指数は、さまざまな銘柄で構成されおり、1つのETFを持つことで、個別企業の株式に投資するよりもリスクを抑えながら分散投資することが可能です。
②値動きがわかりやすくコストが安い
ETFは、指数の動きに連動するように運用されていますので値動きがわかりやすく、一般的な投資信託と比べて保有コストが安いのが特徴です。
③証券会社に口座があれば、取引所でリアルタイムに売買できる
ETFは、取引所が開いている時間帯は株式同様、リアルタイムで取引が可能です。東証上場ETFであれば、投資対象が米国株式など時差のある海外資産であっても、東京時間で売買が可能です。自分で決めた値段(指値)での注文や、信用取引もできます。
ETFのデメリット(留意点)
①分配金が自動的に再投資されない
ETFの分配金は、自動で再投資する仕組みがないため、再投資する場合は手動で買い付けを行う必要があります。
②価格のかい離がある
ETFには、上場株式としての「市場価格」と投資信託としての「基準価額」の2つの価格があります。市場価格は市場の需給で決まるため、投資信託の価値である基準価額と市場価格が乖離する可能性があります。詳細は、「ETFの3つの価格とは? |深掘りETF②」で解説しています。
東証ETFと米国ETF
ETFには、東京証券取引所に上場する国内上場ETFと、米国などの海外の取引所に上場している海外上場ETFの2種類があります。 それぞれ特徴がありますので、ご自身が何を優先するか次第で、どのETFを売買するか決めるのがよいでしょう。
東証ETFと米国ETFの特徴比較
東証ETF | 米国ETF | |
---|---|---|
上場先 | 東京証券取引所 | NYSE Arca, Nasdaq, Cboe |
取引時間 | 日本時間 | 米国時間 |
取引通貨 | 円 | 米ドル |
売買可能な証券会社 | ほぼすべての証券会社 | 取扱証券会社 |
(取扱)銘柄数 | 約300銘柄 | 多いところでは 約400銘柄超 |
売買時のコスト | 国内株の売買手数料 | 米国株の売買手数料 |
為替手数料 | 投資対象が海外資産であっても円での決済の為不要 | 円から購入する場合、 |
保有時のコスト | 信託報酬など | 経費率など |
分配金 | 円で支払い | 米ドルで支払い |
外国税額控除 | (投資対象が海外資産の場合) 分配金受け取り時に処理される | 投資家が自身で確定申告 |
※一部の内容は一般的な場合を示したもので、すべてのケースに当てはまるわけではありません
なお、東証ETFにも、S&P500 ETFに代表される米国株ETF等、海外資産のETFも多数そろっています。東証ETFと米国ETFの違いについての詳細は、「国内上場ETFと海外上場ETFの違いとは?」をご確認ください。
もっと知りたい!ETF
ETFの特徴や種類、また売買方法や分配金・コストについて詳しく知りたい方は以下のページでご確認いただけます。
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(2024年11月8日更新/2018年12月作成)