ETFの費用・税金とNISA【ETFの買い方・売り方③】

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ETFの費用とは

ETFとは?ETFのメリットやデメリットの解説では、ETFは一般の投資信託と比較して運用管理費用(信託報酬)が低い傾向にあることをお伝えしましたが、ここではETFにかかる費用をより詳細に見ておきましょう。
ETFは、購入時、保有時、配当・分配時、売却時にそれぞれ費用がかかります。

購入時・売却時

売買手数料

株式と同様に証券会社を通じてETFを売買する際に取引手数料として支払う費用で、証券会社によって異なります。一部の証券会社では、ETFの売買手数料を銘柄によっては無料にしているケースもあります。

保有時

運用管理費用(信託報酬)

信託財産の運用・管理に要する費用です。ETFを保有している間、純資産総額に対して信託財産の中から一定の料率が毎日差し引かれています。つまり、毎日公表される基準価額(純資産総額÷発行済口数)には、信託報酬が反映されているため、別途支払う必要はありません。信託報酬の料率はETFによって異なり、目論見書などに年率で記載されています。

純資産総額の増加に応じて信託報酬率が低下する料率体系である「段階料率」を取り入れているETFや、信託報酬率の引き下げ等を定期的に行っているETFもありますので、直近の信託報酬率は運用会社のホームページ等で確認するとよいでしょう。

その他費用

決算ごとの監査に要する費用、指数の商標使用料や上場費用、保有する株式などを売買する際に発生する費用等があります。これらも信託報酬と同様に信託財産より間接的に差し引かれます。

また、信託報酬とその他費用を合計したもの(つまりファンドが決算期間中に負担した経費の総額)を経費率と呼ぶことがあります。

分配金への課税

分配金にかかるコストは主に税金となります。詳細は以下の項目をご覧ください。なお、ETFの分配金については、「ETFの分配金のしくみと利回り」にてご確認ください。

ETFの税金とは

国内に上場しているETFに投資した際の税金は、原則として上場株式同様、売買益(譲渡益)に対する課税と分配金に対する課税があります。

売買益に対する課税

ETFの売買益は譲渡所得となり、申告分離課税の対象となります。原則として確定申告が必要ですが、証券会社の「特定口座」で「源泉徴収あり」を選択すると、税の徴収が証券会社により行われ、確定申告が不要となります。
税率は、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です(2023年4月末現在)。

分配金に対する課税

ETFの分配金は配当所得となり、総合課税または申告分離課税の対象となります。現在は、分配金の支払いを受ける際に源泉徴収されて課税が終了する「確定申告不要制度」が採用されているため、原則として確定申告は不要となります。
税率は、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です(2023年4月末現在)
外国に上場するETFに投資される場合は、税制が異なる可能性がありますので、別途確認が必要です。

外国所得税に対する二重課税調整

外国資産に投資する際、外国資産からの配当や利子等に対して、投資先の国ごとに所得税に相当する税(以下「外国所得税」)がかかる場合があります。その場合、国内での所得税等の課税にあたって、二重課税とならないように外国所得税額を考慮して調整が行われることを外国税額控除といいます。

2020年1月の税制改正以降、国内上場のETFの分配金に対しては、この外国税額控除が適用されているため、一般の投資家の皆さまが特別な手続きをする必要はありません。なお、二重課税調整は、国内ETFのみの適用で、海外に上場しているETFは適用外のため、留意が必要です。

対象となるETFについては、「ETFの分配金に関する二重課税調整とは?」をご覧ください。

ETFとNISA

上記の通り、ETF投資で得た利益には、基本的に20.315%の税金がかかりますが、2023年12月末までのNISA(少額投資非課税制度)を利用すれば、年間120万円までの新規投資から得られる利益が非課税となります。

なお、令和5年度税制改正の大綱等において、2024年以降のNISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針が示されました。現行の一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3つの制度は2023年12月末で終了し、新たにつみたて投資枠と成長投資枠に再編される予定です。

2023年12月までのNISA制度

一般NISAつみたてNISAジュニアNISA
利用できる方※118歳以上の日本居住者等
(一般NISAとつみたてNISAは選択利用。併用不可)
18歳以上の日本居住者等
(一般NISAとつみたてNISAは選択利用。併用不可)
0~17歳の日本居住者等
非課税投資枠年間120万円年間40万円(定期継続買付)年間80万円
投資可能期間2023年12月末まで2023年12月末まで2023年12月末まで
非課税保有期間最長5年間最長20年間最長5年間
非課税対象商品※2上場株式・公募株式投資信託等公募株式投資信託等※3上場株式・公募株式投資信託等
運用管理本人が行なう本人が行なう親権者等が代理で行なう
払出し制限制限なし制限なし原則、18歳※4まで払出し不可※5
金融機関の変更不可※6

※1 投資を開始する年の1月1日現在。
※2 取扱う商品は金融機関によって異なります。詳しくは販売会社にお問合せください。
※3 つみたてNISA用の公募株式投資信託、上場株式投資信託(投資対象資産が株式のETF(上場投資信託))。上場株式、REIT(上場不動産投資信託)は対象外です。
※4 3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日。(例えば、高校3年生の1月以降は払出しが可能になります。)
※5 原則、18歳まで払出しは行なえません。途中で払出す場合は、ジュニアNISA口座は廃止され、過去の利益に対して課税されます(災害などやむを得ない場合は課税されません)。なお、令和2年度税制改正に伴い、2024年以降はジュ二アNISA制度は新規の投資ができなくなり、払出し制限も撤廃されます。
※6 ある金融機関でジュニアNISA口座を開設した後に、他の金融機関でジュニアNISA口座を開設したい場合は、既存の口座を廃止する必要があります。
上記は、NISAのすべてを表すものではありません。
(出所)金融庁、財務省などの資料を基に野村アセットマネジメント作成。
●金融庁:https://www.fsa.go.jp/ ●財務省:https://www.mof.go.jp/
各NISAのお申し込みの受け付けは、全国の金融機関になります。野村アセットマネジメントでは、受け付けを行なっておりません。

2024年1月からのNISA制度

2024年1月からのNISA制度

(注1)非課税保有期間の無期限化に伴い、現行のつみたてNISAと同様、定期的に利用者の住所等を確認し、制度の適正な運用を担保
(注2)利用者それぞれの非課税保有限度額については、金融機関から一定のクラウドを利用して提供された情報を国税庁において管理
(注3)金融機関による「成長投資枠」を使った回転売買への勧誘行為に対し、金融庁が監督指針を改正し、法令に基づき監督及びモニタリングを実施
(注4)2023年末までにジュニアNISAにおいて投資した商品は、5年間の非課税期間が終了しても、所定の手続きを経ることで、18歳になるまでは非課税措置が受けられることとなっているが、今回、その手続きを省略することとし、利用者の利便性向上を手当て
(出所)金融庁(https://www.fsa.go.jp/)の資料などを基に野村アセットマネジメント作成

なお、ETFについては、つみたてNISAの対象商品が限定されているため、一般NISA(2024年1月以降は成長投資枠)をご利用いただくのがよいでしょう。

(2023年4月28日更新/2018年12月作成)

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