
好調な米労働市場や米景気を受けて、米10年国債利回りは一時5.0%超へ
POINT
- 昨年末からFRBは利上げペースを減速させる
- 米10年国債利回りは低下に転じるものの、今年に入って下げ止まり
- 米高金利政策の長期化への警戒が高まり、米10年国債利回りは再上昇
FRB(米連邦準備制度理事会) は2022年にかなりの急ピッチで利上げを続けてきましたが、米インフレにピークアウト感が見られ始めたことなどから、昨年11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げペース減速を示唆し、12月と今年2月のFOMCで実際に利上げペースの減速を決めました。
こうしたFRBの政策スタンスの変化を好感して、昨秋には政策金利の引き上げが続く中でも、米10年国債利回りの上昇は止まり、一時は低下傾向にありました。但し、実際に利上げペース減速が決定された昨年12月中旬以降は米10年国債利回りは下げ止まり、今年前半は概ねレンジ相場で推移しました。その理由は、米インフレは足元では減速感が出てきた一方、中長期見通しは高止まりしており、政策金利引き下げ期待が後退し、長短金利差から米10年国債利回りの低下に限界が出てきたためと見られます。
今年3月以降は、欧米での金融システム不安浮上や、米連邦債務上限問題に絡む景気減速懸念などから、米10年国債利回りが低下する局面もありました。しかし、米労働市場が非常に強いことや米景気が底堅く推移していることなどから、7~10月には米10年国債利回りは上昇基調となり、一時は5.0%を上回り、10月末には5.0%弱と高水準となりました。
期間:2021年11月1日~2023年10月31日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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