
米高金利政策長期化の観測から、米ドル円相場は145円を超えてじわじわと上昇
POINT
- 米ドル円相場は昨年10月をピークに下落に転じる(円高米ドル安)
- 米ドル円相場を動かしてきた日米の金融政策スタンスに変化あり
- 植田日銀は緩和路線を継続、FRBは高金利政策継続で再び円安米ドル高
昨年3月以降、日米金利差の急拡大などを背景に急ピッチで上昇してきた米ドル円相場ですが(円安米ドル高)、10月中旬に一時150円台に載せた以降は、円高米ドル安に反転し、その後水準を切り下げて一時は130円を割り込みました。
それまでの円安米ドル高の原動力になっていた日米の金融政策の違いに変化が見られ、12月にFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げペースを減速し始めた一方、日銀がそれまでの超金融緩和路線からの転換とも思われる政策修正を行なった結果、日米の国債利回りなどの市場金利差の縮小期待が高まり、円高米ドル安へ反転したと思われます。
しかし、今年4月以降は、植田新総裁の下で船出した日銀が、YCC(長短金利操作、イールドカーブ・コントロール)政策の微修正などを行ないながらも金融緩和を継続することを表明した一方、FRBによる高金利政策が長期化するとの観測が高まりました。その結果、米ドル円相場は再びじわじわと上昇を続け、8月末では145円程度に上昇しました。
期間:2021年9月1日~2023年8月31日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当レポートは、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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