
ネットゼロ政策の狭間で上昇してきた原油相場
POINT
- コロナショックで大暴落も、上昇に転じ現在は高止まりが続く
- 原油相場上昇、最大の原動力は供給制限か
- 今後も相場は高水準で一進一退か
コロナショックで大暴落した原油相場ですが、暴落後に一気に上昇に転じ、WTI先物で見て、今年3月初旬に120米ドル台を付けました。その後は一進一退の様相を示しながらも、高止まりが続いています。
原油相場上昇の原動力ですが、経済正常化で需要が回復するとの期待が高まったことは事実ですが、最大の原動力は供給制約でしょう。ウクライナ情勢でロシア産原油が市場から蒸発する影響もさることながら、最も効いているのが、COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)などでネットゼロ(脱炭素社会)が叫ばれ、近未来の原油需要が大幅減少することが予想される中、原油産業が新たな設備投資を行なうことに躊躇し、老朽化設備の更新が滞ることなどを要因として供給制約に陥ったことです。
今後の動向については、ウクライナ情勢も出口が見えない他、供給制約についても根本的な問題は変わっておらず、原油の供給力が限られる厳しい情勢は続くものと思われます。但し、原油価格、つまりは、ガソリン価格があまりにも高騰すると自然と需要が落ちることから、青天井での上昇は考えにくく、ネットゼロ政策下に於いて、水準的にはやや高水準を維持し、一進一退の動きが続くと見ています。
期間:2020年8月3日~2022年7月29日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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