米政府による戦略備蓄補充や主要産油国による協調減産に支えられる展開が続く
POINT
- 原油高騰の主要因は構造的な供給制約問題
- あまりに高いガソリン価格には消費者はついてこれず
- 米政府の戦略備蓄補充と産油国の減産が油価を下支え
近年、地球温暖化などの世界的な気候変動問題への意識の高まりから、ネットゼロ(脱炭素社会)が叫ばれ、近未来の原油需要が大幅減少することが予想され始めました。そうした状況から、原油産業は新たな設備投資に躊躇し、老朽化設備の更新が滞ったことなどから供給制約に陥りました。そこへコロナ禍からの経済活動正常化で原油需要が回復したため、2021~22年前半にかけて原油相場は大幅に上昇しました。
一方、高すぎる原油価格は消費を圧迫し、高値ではガソリン需要が冷え込んだほか、金融引き締めに伴う世界的な景気減速や中国のゼロコロナ政策で原油需要が減少するとの警戒も加わり、需要減少への警戒から、その後は下落基調に転換しました。
足元の原油相場は、70~80米ドル程度で一進一退で推移しています。欧米での金融引き締め長期化に伴う欧米景気の減速や、期待ほどの回復を見せない中国景気への不安などが、相場への下押し圧力となっています。一方、米政府が原油相場急騰時に放出した戦略備蓄を補充するために、一定額(70米ドル程度)で原油を購入することを宣言していることや、主要産油国による協調減産が相場を下支えする格好となっており、70米ドル程度を下値に70~80米ドル前後で推移しています。
期間:2021年8月2日~2023年7月31日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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