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堅調な米景気や主要産油国による協調減産に支えられ、期近物が90米ドルへ
POINT
- 原油高騰の主要因は構造的な供給制約問題
- あまりに高いガソリン価格には消費者はついてこれず
- 堅調な米景気や主要産油国の協調減産が期近物相場を押し上げる
近年、地球温暖化などの世界的な気候変動問題への意識の高まりから、ネットゼロ(脱炭素社会)が叫ばれ、近未来の原油需要が大幅減少することが予想され始めました。そうした状況から、原油産業は新たな設備投資に躊躇し、老朽化設備の更新が滞ったことなどから供給制約に陥りました。そこへコロナ禍からの経済活動正常化で原油需要が回復したため、2021~22年前半にかけて原油相場は大幅に上昇しました。
一方、高すぎる原油価格は消費を圧迫し、高値ではガソリン需要が冷え込んだほか、金融引き締めに伴う世界的な景気減速や中国のゼロコロナ政策で原油需要が減少するとの警戒も加わり、需要減少への警戒から、その後は下落基調に転換しました。
足元のWTI原油先物相場は、期近物が90米ドル前後に上昇しています。米国景気が堅調なことやサウジアラビアなどの主要産油国が減産を続けていることで、目先の原油需給のタイト化を想定して強含んでいるようです。一方、1年先などの期先物は80米ドル程度で推移しており、金融引き締め長期化に伴う欧米景気の減速や中国景気への不安、そして、減産の継続性不安などから、中長期的には需給軟化が想定され、期近物に比べて下押し圧力が高まっており、短期と中長期で見方が分かれているようです。
期間:2021年10月1日~2023年9月29日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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