米国債市場はFFレート3.5%への利上げを織り込んだ
POINT
- 低位推移の利回り、2020年暮れ以降上昇に転じる
- 今後の景気とインフレ動向、FRBの政策に注目
米国債利回りは、2020年夏頃までは極めて低位で推移してきましたが、2020年暮れ以降はワクチン普及などで経済活動の正常化が進んだことで景気回復期待が高まり、緩やかに上昇に転じました。そして、昨夏頃からは米国でのインフレ高騰を受けて、利上げを警戒する動きが始まりました。今年に入って以降は米国でのインフレが加速したことで、FRBによる急速な利上げを織り込む動きが進み、急ピッチで利回りが上昇、今年3月に実際に利上げが始まって以降は更に上昇ピッチを速め、6月の利上げ直前には、10年債利回りが3.5%程度まで上昇しました。
このように利上げ加速を織り込む格好で米国債利回りは上昇してきましたが、米金利先物市場では米政策金利(FFレート)が3.5~4.0%まで引き上げられることを織り込みました。一方、足元では急速な金融引き締めによる米景気減速への警戒から、米金利先物市場では来年の利下げを織り込み始め、米債券利回りは急低下に転じています。
今後は米国の景気とインフレ動向が注目されます。インフレや金利上昇によって、米国では低所得者層が購買力を弱めており、様々な分野で「景気減速」の兆候が見られ始めています。一方、発表されるインフレ指標からはインフレが峠を越えつつあると思われる内容も出始めており、今後のFRBの政策が注目されます。
期間:2020年8月3日~2022年7月29日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
よく読まれている記事
-
ETFとは?ETF(上場投資信託)のしくみやメリット・デメリット、投資信託との違いを解説ETFとは、日経平均株価やTOPIX、S&P500等の指数に連動するように運用さ…
-
2025年の日本株の有望業種は何か?今年のTOPIX-17セクターのパフォーマンスを振り返るとともに、2025年の日…
-
長期的に上昇しているインド株式市場を再点検するインド経済は好調に推移している一方で、足元でやや調整しているインド株式市場につい…
-
馬渕磨理子氏 出演!「日経大人のマネー講座~あなたはどっち派?半導体株VS高配当株~」のアーカイブ動画配信スタート!!2024年6月24日に開催された、「日経大人のマネー講座~あなたはどっち派?半導…
-
商社株にまるごと投資。商社・卸売ETF「投資の神様」と呼ばれるバフェット氏の保有で話題となった日本の商社株について、そ…
-
配当利回りが魅力の高配当株ETF(解説動画あり)高配当株ETFは、高配当銘柄で構成された指数に連動するETFで、一般的な日本株E…
-
NF・日本株気候変動ETF上場2024年12月3日、NEXT FUNDSより新たにNF・日本株気候変動ETFが…