
FRBは3会合連続の大幅利上げを決定、予想以上の「タカ派」姿勢に市場は動揺
POINT
- FRBの3会合連続の大幅利上げで米10年国債利回りは一時4.0%へ
- FRBの予想以上の「タカ派」姿勢に市場は動揺
- 英国の政策ミックスへの警戒で市場はさらに混乱
米国債市場では、米インフレ高進を受けた利上げ加速により、米10年国債利回りはじわじわと上昇を続け、6月に3.5%程度の高値を付けた後、一旦は低下に転じたものの、9月に再び大幅上昇して、一時、4.0%に載せました。
9月に再び大幅上昇に転じた原因は、米インフレ動向に鈍化の兆しが見られないことから、FRBが6、7月に続いて9月の金融政策決定会合でも大幅利上げ(通常の3倍に当たる0.75%利上げ)に動いたことで、こうしたFRBの予想以上の「タカ派」姿勢に市場が動揺したことにあります。
更に、英中銀がインフレ抑制のために利上げを急ぐ中、英政府が大幅減税を発表し、中銀が景気を引き締めているのに、政府が景気を支援するという矛盾する政策ミックスが発表されました。減税のための国債増発懸念も浮上し、英国債利回りが急上昇、欧米債券利回りも大幅上昇するなど、市場が大きく混乱しました。その後、英中銀が国債買い入れを発表したことで、一旦は落ち着きを取り戻しました。
今後については、混乱の主原因であるインフレ動向に注視が必要です。インフレが収まれば落ち着きを取り戻せる一方、そうならなければ市場の混乱は続くものと思われ、警戒が必要です。
期間:2020年10月1日~2022年9月30日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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