
FRBは利上げペースを減速、債券利回りは一旦は低下するも足元で反発
POINT
- FRBは利上げペースを減速させる
- 米国債利回りは低下に転じるものの、今年に入って下げ止まり
- 1月の米経済指標が総じて強い内容となり、米国債利回りは反転上昇
FRB(米連邦準備制度理事会) は2022年にかなりの急ピッチで利上げを続けてきましたが、米インフレにピークアウト感が見られ始めたことなどから、昨年11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げペース減速を示唆し、12月と今年2月のFOMCで実際に利上げペースの減速を決めました。
こうしたFRBの政策スタンスの変化を好感して、昨秋の米10年国債利回りは低下傾向にありましたが、実際に利上げペース減速が決定された後は米10年国債利回りは下げ止まっています。その理由は、政策金利であるFFレート(誘導目標上限値)が2月1日に4.75%に引き上げられ、将来の最終的な利上げ到達点が5%台と予想されているため、長短金利の逆転幅が広がり、米10年国債利回りの低下に限界が出てきたためと考えています。米10年国債利回りが更に低下するためには利下げを待つ必要がありそうです。
また、足元では2月に発表された1月の米経済指標(失業率やインフレ率、小売統計など)がどれも市場予想を上回る強さを示したことで、米景気減速や早期の利上げ停止への期待が後退、米利上げは長期化しそうとの観測に変わりました。そうした市場センチメントの変化を受け、米国債利回りは反転上昇しています。但し、米インフレや米景気は緩やかながら減速すると思われ、米国債利回りの更なる上昇は限定的でしょう。
期間:2021年3月1日~2023年2月28日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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