米インフレの鎮静化が緩やかに進み、米10年国債利回りは4%台前半で推移
POINT
- インフレ減速を受け、2022年末からFRBは利上げペースを減速させる
- 米10年国債利回りは2022年秋から一旦低下も、2023年は横ばいから再上昇
- 昨秋には一時5%を超えるも、昨年末には急低下して一時4%を割り込む
FRB(米連邦準備制度理事会) は2022年にかなりの急ピッチで利上げを続けてきましたが、米インフレにピークアウト感が見られ始めたことなどから、同年11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げペース減速を示唆し、12月と翌2023年2月のFOMCで実際に利上げペースの減速を決めました。
こうしたFRBの政策スタンスの変化を好感して、2022年秋には米10年国債利回りの上昇が止まり、一時は低下局面もありました。但し、実際に利上げペース減速が決定された12月中旬以降は米10年国債利回りは下げ止まり、23年前半は概ねレンジ相場で推移しました。その理由は、米インフレの中長期見通しは高止まりしており、高金利政策の長期化観測が高まったことなどがあげられます。
2023年3月以降は、欧米での金融システム不安や、米連邦債務上限問題に絡む景気減速懸念などから、米10年国債利回りが低下する局面もありました。しかし、米景気が底堅く推移していることや、国債増発による需給悪化懸念などから、7~10月には米10年国債利回りは上昇基調となり、一時は5%を上回りました。ところが、11月以降は米インフレの鎮静化が着実に進んだことで、利回りは一時4%を割り込む水準へ急低下しました。その後もインフレ鈍化が徐々に進んだことから利回りは4%台前半で推移しています。
期間:2022年4月1日~2024年3月28日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
よく読まれている記事
-
ETFとは?ETF(上場投資信託)のしくみやメリット・デメリット、投資信託との違いを解説ETFとは、日経平均株価やTOPIX、S&P500等の指数に連動するように運用さ…
-
プライスリターンとトータルリターン株価指数には、配当を加味したプライスリターン指数と加味しないトータルリターン指数…
-
インフレヘッジに際し、商品関連ETFに関する注意事項を確認する電気料金や食品価格の上昇などついに日本にも到来したインフレ。資産運用におけるイン…
-
円高リスクを警戒して医薬品セクターへ資金逃避か?昨年から一転してリターン上位につけている医薬品セクター。業績や構成銘柄から今後の…
-
馬渕磨理子氏 出演!「日経大人のマネー講座~あなたはどっち派?半導体株VS高配当株~」のアーカイブ動画配信スタート!!2024年6月24日に開催された、「日経大人のマネー講座~あなたはどっち派?半導…
-
配当利回りが魅力の高配当株ETF(解説動画あり)高配当株ETFは、高配当銘柄で構成された指数に連動するETFで、一般的な日本株E…