日銀YCC政策の運用柔軟化で、米ドル円相場は140円を挟んだ展開
POINT
- 米ドル円相場は昨年10月をピークに下落に転じる(円高米ドル安)
- 米ドル円相場を動かしてきた日米の金融政策スタンスに変化あり
- 植田日銀は7月にYCC政策の運用を柔軟化するも緩和路線を継続
昨年3月以降、日米金利差の急拡大などを背景に急ピッチで上昇してきた米ドル円相場ですが(円安米ドル高)、10月中旬に一時150円台に載せた以降は、円高米ドル安に反転し、その後水準を切り下げて一時は130円を割り込みました。
それまでの円安米ドル高の原動力になっていた日米の金融政策の違いに変化が見られ、12月にFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げペースを減速し始めた一方、日銀がそれまでの超金融緩和路線からの転換とも思われる政策修正を行なった結果、日米の国債利回りなどの市場金利差の縮小期待が高まり、円高米ドル安へ反転したと思われます。
今年4月以降は、植田新総裁の下で船出した日銀が金融緩和を継続したことなどから、一転して円安に転じ、6月下旬には145円程度となりました。しかし、7月に入ると、日銀がYCC(長短金利操作、イールドカーブ・コントロール)政策を再修正するとの警戒で140円割れとなる局面もあれば、7月下旬に実際にYCC政策の運用柔軟化が発表されると、7月末には142円台へ持ち直すなど、140円を挟んだ展開となっています。
期間:2021年8月2日~2023年7月31日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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