
割高感の解消は概ね完了、業績悪化を織り込む調整最終局面
POINT
- 好調推移も今年に入り大きく調整
- 米景気減速への警戒
- 今後の業績動向に注意
昨年末頃までは好調に推移していた米国株式ですが、今年に入って以降は大きく調整しており、S&P500の直近安値(3,666ポイント、6/16)は、史上最高値(4,796ポイント、1/3)から▲23.6%の調整となりました。調整の最大の原因は米利上げ加速観測と、それに伴って米国債利回りが急上昇したことです。昨年までの上昇で割高感が見られたハイテク銘柄などが、金利上昇を受けて調整を余儀なくされました。
一方、足元では、米景気減速への警戒から、今後の利上げペースの減速などが予想され始めており、米国債利回りが頭打ちとなっています。一方、利上げやインフレによって米景気が減速し、企業業績が悪化するとのニュースが増え始めており、足元の最大の関心事になっています。
実際、7月中旬から4-6月期の米企業決算発表が始まっていますが、今後の見通しに対して懸念を示す事例も出ており、マーケットの変動要因となっています。インフレに伴うコスト圧力、低所得者層の実質購買力の低下など、今後も米景気に対する圧力が高まることが予想されるため、業績動向に注意が必要です。但し、景気減速がどの程度の深さや長さになるのかなど、景気減速の度合い次第では株式市場の反発タイミングが早まる可能性もあると考えられるので、悲観一辺倒とはならないと思われます。
期間:2020年8月3日~2022年7月29日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
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野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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