
米企業業績は予想ほど悪くなかった一方、FRBのタカ派姿勢を警戒
POINT
- S&P500は6月中旬を底に反発
- 警戒された米企業業績は想定ほどは悪くない
- 今後の米インフレ動向に注目
米インフレ抑制のためのFRBによる利上げ加速への警戒、そして、インフレや利上げ加速が米景気を冷やし、米企業業績悪化につながるとの懸念などから、米国株式は今年に入ってから大きく調整してきました。S&P500の直近安値(3,667ポイント、6/16)は、年初の史上最高値(4,797ポイント、1/3)から▲23.6%の調整となりました。
一方、6~8月に公表された米企業業績に関する一連のイベント(決算前の事前業績修正や決算発表)を確認すると、確かに、米インフレに伴うコスト圧力や低所得者層の実質購買力低下は見られたものの、総じていえば、米企業業績は想定していたほど悪くはないとの解釈となり、S&P500は6/16を底値に反発に転じ、一時は今年の下げ幅の半分強を回復しました。しかし、8月下旬の金融・経済シンポジウムである米ジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演を市場が「タカ派」と解釈したことで、株式市場は再調整しています。
今後の動向については、米インフレ動向に注目が集まります。FRBはインフレ抑制のために強めの金融引き締めを継続するとしていることから、米インフレに鎮静化の兆しが見られればFRBの姿勢変化が期待され、株式市場に見直し買いが入るでしょう。
期間:2020年9月1日~2022年8月31日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
<指数の著作権等について>
●「S&P500株価指数」に関する一切の知的財産権その他一切の権利はスタンダード&プアーズファイナンシャルサービシーズエルエルシーに帰属しております。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
よく読まれている記事
-
ETFとは?ETF(上場投資信託)のしくみやメリット・デメリット、投資信託との違いを解説ETFとは、日経平均株価やTOPIX、S&P500等の指数に連動するように運用さ…
-
ETFの分配金のしくみと利回り【ETFの買い方・売り方②】ETFは決算期間中の利子や配当等の収益から費用を控除した全額を分配金として支払い…
-
新NISAとETF【深堀りETF㉑】2024年から始まる新NISAでは制度が大幅に拡充され、多くのETFが成長投資枠…
-
好対照な日本と米国の銀行株日銀の政策により注目が集まる銀行株について、金利上昇との関係や、日米の金利環境と…
-
アクティブETFの活用法9月に国内で初めて上場したアクティブETFについて、その種類や利用法を紹介します…
-
東京オフィス市況に改善の兆し、Jリートは見直されるのか?東京オフィス市況をオフィスの空室率やセクター別パフォーマンスを用いて分析し、今後…
-
銀行株の今後は?日銀政策修正で大相場が始まったのか?銀行株の好パフォーマンスが今後も続くのかを、過去のパフォーマンスと長短金利差から…
-
50代~60代のための新NISA徹底活用法【新NISA②】定年退職が目前に迫る、もしくはすでに定年を迎えた50代~60代を中心としたミドル…
-
配当利回りが魅力の高配当株ETF(解説動画あり)高配当株ETFは、高配当銘柄で構成された指数に連動するETFで、一般的な日本株E…