世界的景気減速や中国ゼロコロナ政策に一喜一憂
POINT
- 原油高騰の主要因は構造的な供給制約問題
- あまりに高いガソリン価格には消費者はついてこれず
- 当面の原油相場は世界景気と中国のゼロコロナ政策の影響を受けよう
※1ガロンは約3.8リッター、1ガロン=5米ドルは、1リッター=約197円(150円/米ドル換算)
上昇が続いていたWTI原油先物ですが、ロシアによるウクライナ侵略開始直後の今年3月初旬や6月に120米ドル台を付けた後、足元では大きく調整しています。原油相場上昇の最大の原動力は供給制約と考えています。COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)などでネットゼロ(脱炭素社会)が叫ばれ、近未来の原油需要が大幅減少することが予想される中、原油産業が新たな設備投資を行なうことに躊躇し、老朽化設備の更新が滞ることなどを要因として供給制約に陥ったことです。
しかし、WTI原油先物の120米ドルは米ガソリン価格で1ガロンあたり5米ドル程度となり、高価格ゆえに購買力の限界に達したのか一気にガソリン需要が冷え込みました。そして、需要の冷え込みを確認した市場は下落に転じ、世界的な景気減速や中国のゼロコロナ政策で原油需要が減少するとの警戒も加わり、足元では80~90米ドル程度で推移しています。
今後については、供給制約については根本的な問題は変わっておらず、原油の供給力が限られる厳しい情勢は続くものと思われます。一方、需要サイドは世界的な景気減速や中国のゼロコロナ政策の影響を大いに受けると思われ、当面はこれらの材料に一喜一憂しそうです。
期間:2020年11月2日~2022年10月31日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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