ファイナンシャルプランナーが伝授する資産形成・資産活用としての株式投資(第14回)
コア・サテライト戦略でバランスの良い運用を【資産形成⑭】
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前回は、株式投資の中でも、資産形成には投資信託やETF(上場投資信託)を活用した分散投資を中心にすることが重要であることをお伝えしました。
今回は、運用資産全体を整理する際に役立つ「コア・サテライト戦略」という考え方をご説明します。
個人にとっての株式投資で大切なこと
株式投資はうまく活用できると、個人の方が資産形成していく際にとても強い味方になってくれますが、やり方によっては想定外に大きなリスクを取ることになります。資産形成として株式投資をする際には、前回お伝えした通り「分散投資」でリスクを抑えることが大切です。
第6回、第7回でご説明していますが、株式会社は世の中に商品やサービスといった付加価値を提供し、その対価として売上を上げて、費用を払い、最終的に利益を生み出します。従って、短期的に株式の売買を繰り返すという取引行為によってリターンを生み出せるわけではありません。短期売買や個別株式の一点集中投資などはリスクの高い投資手法です。資産形成のための株式投資で「大失敗して大損した!」なんてことがないようにしたいものです。
コア・サテライト戦略で考えよう
そこでご紹介したいのが「コア・サテライト戦略」という投資戦略です。
「コア・サテライト戦略」では、運用資産をコア(中核)とサテライト(衛星)に分け、コアは、「守りの資産」として長期的に安定して運用できる商品を保有し、サテライトは、「攻めの資産」としてコアよりもハイリスク・ハイリターンの商品を保有します。
コアとサテライトの比率は、
コア:サテライト = 80 : 20
くらいを基本に考えて頂くのがよいと思います。
例えば運用資産が300万円の方であれば、
コア:サテライト = 240万円 : 60万円
といったイメージです。
配分は人によって自由ですが、コア:サテライト = 90:10 や 70:30 など、基本的にはコアが大半を占めるようにしておきましょう。
コアは、世界株式で分散投資を
では、コア(守りの資産)として、具体的にどんな商品を持つのがよいのでしょうか。
実際には各々のリスク許容度によって異なってくるとは思いますが、基本的には、第13回でご紹介したように、世界の幅広い国々(日本、先進国、新興国など)の株式に分散して投資できる投資信託やETF(上場投資信託)をおすすめしています。
特に、特定の指標(MSCI World Indexなど)に連動するインデックスファンドやETFであれば、組入銘柄が多い傾向にあるため分散投資でリスクを抑えられますし、信託報酬が低めに設定されているためファンドを継続して保有する費用も抑えられます。
「世界株式のインデックスファンドに投資する」と聞くと、「なんだか退屈だ、つまらない」と言った声も聞こえてきそうですが、コア(守りの資産)の資産形成における投資の目的は、リスクを低く抑えて長期的にお金を増やしていくことです。
インデックスファンド以外の投資を楽しみたい、自分の意志で投資先を決定したい、とお考えの方は、サテライト(攻めの資産)で、ご自身のお考えに沿って選ばれた商品を保有するのがよいでしょう。
サテライトは、少し楽しむための投資を
サテライト(攻めの資産)として保有する商品の考え方はいろいろありますが、例えば、
- この会社のカリスマ経営者とビジネスモデルには未来を感じるのでぜひ株式を持っておきたい!
- 普段から利用しているお店はとても気に入っていて、できれば定期的に株主優待を受け取りたい!
- このファンドマネージャーの運用哲学はとても素晴らしいと思うのでこのファンドを買おう!
といった具合です。
世界株式のインデックスファンドなどと比べるとハイリスク・ハイリターンになるかと思いますが、投資を楽しむために、このような形で投資をするのもよいでしょう。ただし、第13回でご紹介したように、分散投資先が少ないほどリスクが高くなる傾向にありますので、その点を十分認識しておきましょう。また、商品を選んでいると魅力的な商品が多すぎて、ついつい購入しすぎてしまうことがあります。サテライトの割合は、資産全体の1割~3割を超えないよう、注意しましょう。
もちろん、サテライト(攻めの資産)として、「これに投資してみたい!」というものがない方は、コア(守りの資産)に100%、つまり世界株式のインデックスファンドのみの運用で問題ないと思います。
サテライトは、リスクを高めても「市場平均リターンを少しでも上回りたい」、「個別株投資を楽しみたい」といった思いがある場合に取り入れる考え方です。「リスクは高くしたくない」、「市場平均くらいのリターンを獲得できれば十分」と考えていらっしゃる方は、コアのみでよいでしょう。
コア・サテライト戦略という考え方、いかがでしたでしょうか。
この考え方に沿って、ぜひご自身の資産構成を見直してみて頂ければと思います。
次回もお楽しみに。
(2019年10月作成)