ファイナンシャルプランナーが伝授する資産形成・資産活用としての株式投資(第13回)

分散投資でリスクを下げる ~すべての国のすべての企業の株主に!~【資産形成⑬】

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本連載では、長期的に資産を増やしていくのであれば、付加価値を生み続ける株式を中心に投資していくのがよいでしょう、と説明してきました。しかし、株式に投資しようと思っても、どんな銘柄を選べばいいのか、どんなタイミングで買えばいいのか、なかなか悩みはつきません。そこで今回ご紹介するのが分散投資という考え方です。分散投資で、リスクをおさえながら投資する方法を確認していきましょう。

個別株投資と分散投資

一般的に株式投資というと、トヨタ自動車やソフトバンクグループなど個別企業の株式に投資する「個別株投資」をイメージされる方が多いのではないでしょうか。しかし、個別株に投資すると、投資対象企業の業績によって株価は大きく変動する、つまり大きなリスクを取ることになります。

そこで、ぜひ覚えて頂きたいのが分散投資という考え方です。複数の投資対象に投資をすることでリスクを分散することを分散投資といいます。分散投資というのは、主に次の4つに分けられます。

    1. 業種分散
    2. 資産分散
    3. 国・地域分散
    4. 時間分散

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1つ目に、業種分散というのは、様々な業種の企業に幅広く分散して投資することです。例えば、夏に雨が降らず暑い日が続くとアイスクリームを作っている会社の業績が向上し、一方で、傘などの雨具を作っている会社の業績は低迷するでしょう。このように考えると、アイスクリームを作っている会社と、雨具を作っている会社の両方に投資をしておけば、天候に左右されず、安定的なリターンを期待できます。

2つ目は、資産分散です。これは株式のみならず、債券や不動産投資信託(REIT)など、様々な資産に幅広く投資することです。株式や債券などの特徴の異なる資産に分散投資をしておくことでリスクを低下させることができます。

3つ目が国・地域分散です。これは、様々な国・地域に幅広く分散して投資することです。多くの日本人は株式というと日本株を思い浮かべますね。しかし、アメリカやイギリス、中国など、日本以外の国の株式にも分散して投資しておけば、日本経済が停滞した時でも、他の国は好調なところもあるでしょうから、全体的にはリスクを低下させることができます。これは株式に限らず、債券や不動産投資信託(REIT)といった他の資産についても同様です。

最後に4つ目が時間分散です。これは、投資タイミングを複数回にわけて投資することです。第5回第6回第7回でご説明した通り、株式を発行している企業は世の中に商品やサービスを提供することで利益を生み出します。つまり、配当も含めたトータルなリターンで考えれば、長期的には株価は右肩上がりになると期待できます。しかし、短期的には株価の上下は予測不可能で、株価のピークや底がどこなのかを判断するのは困難です。そこで、投資タイミングを分散することで一定期間の平均的な株価に投資することができます。
時間分散の中でも定期定額で購入していく方法を「ドルコスト平均法」と呼びます。時間分散で投資を行う際に、そのような仕組みを利用すると安い時にはたくさん、高い時には少ない口数を購入することができます。

リターンを求めるなら、株式を中心に

では、無理せず資産形成していきたいと思った場合には、どのように資産を配分していけばよいのでしょうか。

一般的に、株式や不動産投資信託(REIT)はハイリスク・ハイリターン、債券はローリスク・ローリターンと言われています。これから資産を形成していく20代~40代の方であれば、基本的には株式を中心に資産を配分していくことをおすすめします。なぜなら、若いときほど昇給など将来的に収入が増加する可能性が高く、リスクをとって一時的に損失が出ても高いリターンを求めて株式の割合を高めにするのがよいと考えられるからです。

投資先進国のアメリカでは「株式の割合は、"100-年齢"が目安」という考え方があります。例えば、30歳の方であれば株式の割合を70%に、40歳の方であれば株式の割合を60%に、といった具合です。
これは一つの考え方ですが、参考にして頂ければと思います。

すべての国のすべての企業の株主に

では、株式という資産をどのように分散投資すればよいのでしょうか。

個人的には、できることなら、

「すべての国のすべての企業の株主に!」

と考えています。ある国のある企業の業績が悪くなったとしても、また別の国では非常に好業績の企業もあるだろう、というわけです。現実的には、投資可能な企業は取引所に上場している企業に限られますが、できる限り世界中の多くの企業に投資できれば、非常に幅広く分散投資していることになるので、リスクもかなり抑えられます。

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このように世界中に幅広く分散して投資する際に便利な商品が、投資信託やETF(上場投資信託)と呼ばれる金融商品です。投資信託やETFは複数の銘柄をパッケージ化して販売している金融商品です。これらを利用すると、1万円(金融機関によっては100円単位からでも)程度からはじめることができ、それらを組み合わせることで世界の数千銘柄に分散投資することが可能になります。

資産形成していく際は、個別株投資ではなく、投資信託やETF(上場投資信託)を活用した分散投資を中心に考えていくのがおすすめです。

次回もお楽しみに。

(2019年9月作成)

株式会社ウェルスペント
代表取締役

横田 健一

KENICHI YOKOTA

「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで、資産形成情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。同時に、ファイナンシャル・プランナーとして、家計相談やライフプラン・シミュレーションの提供を行っている。
著書:新しいNISA かんたん最強のお金づくり

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