負けないためのETF投資戦略

様々な日本株指数への投資を考える【ETF投資戦略㉒】

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日本株ETFでは、近年様々な株価指数を原指数としたものが登場している。類似した名称もあり、一見しただけでは、その特徴の違いが分かりづらい。そこで、今回は、主な企業価値系やESG系のETFの原指数を例に、スタイル分析の枠組みを使って、その特性を簡単に分析してみたい。

まず、図1に各指数のリターン、リスクを示した。比較のため、日経平均株価とTOPIXを追加した。

図1 リターンとリスク(期間:2016年2月~2021年12月) article_622_img01.png

注1)各指数は配当無し指数。月次の価格変化率より、平均変化率、標準偏差を年率換算し、リターン、リスクとしている。
注2)図に示した指数は以下の通り。各指数の考え方や作成方法については、銘柄一覧(ETF) 日本取引所グループ (jpx.co.jp)の該当対象指標のパンフレット及び銘柄詳細にて参照されたい。

出所)bloombergよりウエルス・スクエア作成。

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日経平均株価はTOPIXに比べてリスクは高いが、Iはその日経平均株価よりもリスクが大きく、リターンが高い。Iは結果として特定の業種に偏っているため、リスクが大きくなっているものと考えられる。一方、A、B、C、E、GはTOPIXよりリスクが小さく、リターンが高い位置にある。つまり、シャープレシオがTOPIXより高かった。

次に、スタイル分析の枠組みを用いて、特性をみていこう。分析結果を図2に示した。分析方法は、図の注釈に記載したが、リターンの時系列データを、TOPIX、スタイル、規模で重回帰分析した結果のスタイルと規模の感応度(係数)を示したものである。

図2 スタイル感応度と規模感応度の関係(期間:2016年2月~2021年12月)article_622_img03.png

注)分析にあたり、各指数の変化率=α+β1×TOPIX変化率+β2×(トータル・バリュー株指数の変化率-トータル・グロース株指数の変化率)+β3×(小型株指数の変化率―大型株指数の変化率)+εの形で重回帰分析したβ2を横軸、β3を縦軸に示した。トータル・バリュー株指数、トータル・グロース株指数、小型株指数、大型株指数はいずれもRussell Nomuraスタイル指数(配当無し)を利用。

出所)bloombergよりウエルス・スクエア作成。

縦軸でマイナスに位置するのは、大型株感応度が高いことを意味する。総じてマイナスであり、大型株寄りである。特に日経平均株価やFは高く、逆にEは中立である。横軸はマイナスだとグロース株感応度が高く、プラスだとバリュー株感応度が高い。総じて、グロース株よりであるが、DやFはバリュー株感応度が高い。名前の似たFとGはスタイルや規模の特性が大きく異なる点に注意したい。

図3 スタイル、規模指数の対TOPIX相対推移
(期間:2001年12月末~2021年12月末、月次)
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注)Russell/Nomuraスタイル指数をTOPIXで除したもの。2001年12月末を100とした。

出所)bloombergよりウエルス・スクエア作成。

足元は世界的なインフレ率の上昇により、各国金融当局の金融政策は転換しつつある。株式市場で言えば、低金利・金余りに依拠したグロース株相場からバリュー株相場に転換しつつある。日本株市場も、2009年央まではバリュー株が傾向的に強かったが、外国人投資家の売買シェアの高まりもあり、海外からの影響を受けるようになっている。指数の名前やリターンやリスクだけでなく、実際の特性に注目した上で、大きな環境変化については、今まで以上に留意が必要である。


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(2022年1月作成)

ウエルス・スクエア
チーフ・アセットアロケーター

竹崎 竜二

RYUJI TAKEZAKI

1999年から野村アセットマネジメントにて、グローバルな資産配分や銘柄選択の投資手法、新商品の開発等に従事。2016年ウエルス・スクエアを立ち上げる。現在、チーフ・アセットアロケーターとして、ファンドラップ運用等に従事。著書多数。

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