ストラテジストのつぶやき~ETFで広がる投資戦略~

日本の銀行株の出遅れ解消なるか?

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11月の世界銀行株指数は22.1%上昇

本年11月、世界銀行株指数は単月で22.1%と大幅に上昇しました。この間、世界株指数も大きく上昇しましたが、上昇率は12.7%であり、銀行株指数はその1.7倍以上の上昇となりました。

本年春頃より新型コロナウイルスの感染が世界中で拡大、その抑制のために各所で経済活動が停滞した悪影響に加え、主要中央銀行がゼロ金利政策を取ったことで利ザヤも失った銀行株は、大幅に低迷していました。

しかし、11月の米大統領選挙が終わった直後から、ワクチン開発に関する複数の明るいニュースが飛び込み、経済活動正常化期待に加え、実際に本年夏ごろから米長期金利に底入れの兆しが見え始めたことで、世界の銀行株が大きく買い戻されました。なお、12月8日現在の年初来リターンで見ると、世界株が+12.0%、世界銀行株指数が▲15.7%と未だ大きな開きがあり、依然として銀行株は市場全体に対して大きく出遅れています。

[図表1]世界銀行株指数と世界株指数、米金利の推移

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期間:2019年12月31日~2020年12月8日、日次
世界銀行株指数:MSCI世界銀行株指数(米ドルベース)
世界株指数: MSCI世界株指数(米ドルベース)
米国10年債:ブルームバーグ・ジェネリック
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成野村證券のデータを基に野村アセットマネジメント作成

ロックダウンに苦しむ欧州の銀行株が最高のパフォーマンス

世界銀行株指数が大幅上昇した11月、主要地域で最も大きく上昇したのは欧州銀行株指数で、実に30.7%もの大幅上昇となりました。この間の欧州株指数は13.8%上昇であり、2倍以上の上昇率となりました。

欧州は今秋に新型コロナウイルスの感染第2波に襲われ、感染スピードが非常に速かったこともあり、英国やフランス、チェコなどで今春に続く「2度目のロックダウン」を余儀なくされました。ある意味、新型コロナウイルスに最も苦しんでいる地域ともいえ、11月のワクチン開発に関する明るい報道は、他地域以上に大きく歓迎されたものと思われます。

[図表2]欧州銀行株指数と欧州株指数の推移

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期間:2019年12月31日~2020年12月8日、日次
欧州銀行株指数:MSCI欧州銀行株指数(ユーロベース)
欧州株指数: MSCI欧州株指数(ユーロベース)
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成

出遅れ顕著な日本の銀行株

一方、わが国の銀行株指数に目を転じると、11月の月間リターンは+5.9%とTOPIXの+11.1%の約半分に留まっています。好調な世界の他地域の銀行株とは全く様相が異なります。もちろん、日本の銀行株はコロナショックの最初の下げが相対的に小さく、緊急事態宣言解除後は目立った行動制限もないことから、特に欧州とは経済状況が異なります。

そうはいっても、同じようなビジネスモデルであり、世界の金融市場の影響を他地域の銀行と同じように受けることを考えると、どこかの時点で見直し買いが入る可能性があるのではないかと考えます。経済正常化が進めば少なくとも市場全体にキャッチアップしていくのではないでしょうか?

[図表3]日本銀行株指数と日本株指数の推移

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期間:2019年12月31日~2020年12月3日、日次
日本銀行株指数:TOPIX銀行業指数(円ベース)
日本株指数: TOPIX
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成

<関連銘柄>
NEXT FUNDS 東証銀行業株価指数連動型上場投信(証券コード:1615)

野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト

阪井 徹史

Tetsuji Sakai

1988年以降約20年間、野村アセットマネジメントにて主に日本株のアクティブ運用業務に従事。その後、グローバル・ストラテジストとして、世界の様々な市場の分析や投資アイデア提供活動を継続中。

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