ETF投資のツボ
高配当ETFの活用法
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昨今のインフレーションへの懸念を受け、欧米では金利が上がっていますが、日本銀行は金融緩和のスタンスを変更していません。そういった中で、インカム収益を得るための一つの方法が株式の配当です。高配当株式への投資は昔から根強い人気がありますし、高配当株式に投資するETFも複数上場されています。
本稿では、高配当株式ETFの特性と活用方法を考えていきたいと思います。
高い配当利回りを目指した投資戦略
高配当株式ETFは、高配当株式を集めた株価指数に連動した投資成果を目指します。その指数は配当利回りの上位銘柄を複数選択し、等金額や配当利回りを加味したウェイト付けを行い、定期的にリバランスするような指数となっています。
<図1:各指数の配当利回りの推移>
期間:2019年7月~2022年6月(月次データ)
出所:Bloomberg、日本経済新聞社のデータを基に野村アセットマネジメント作成
図1では、代表的な日本株の高配当株指数とTOPIXの配当利回りを示していますが、高配当株指数が高い配当利回りを維持しているのがおわかりいただけると思います。そのため、高いインカム収益が欲しいということであれば、確かに高配当株、及び高配当株のETFはその候補になると考えられます。
必ず市場をアウトパフォームするわけではない
配当利回りが高いからといって、トータルリターン(キャピタルゲイン+インカムゲイン)がTOPIXなどの時価総額加重型の株価指数をアウトパフォームするわけではないということには注意が必要です。
<図2:各指数のパフォーマンスと米国金利の推移>
期間:2012年6月末~2022年6月末(月次データ)
出所:Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成
株価指数は全て配当込み指数。2012年6月末を100として指数化したもの。
図2は過去10年間のTOPIXと高配当株指数のトータルリターンの推移を示していますが、パフォーマンスはまちまちで、TOPIXをアンダーパフォームすることもあります。また、昨今の日本銀行の金融政策の影響で日本の国債の利回りの変化は小さいため、ここでは米国の10年国債の金利を示していますが、金利上昇局面では高配当株指数がTOPIXをアウトパフォームし、逆に金利低下局面ではアンダーパフォームする傾向があります。これについてもう少し詳しく見ていきましょう。
金利上昇局面における戦術的な利用
日本株の高配当株指数には銀行セクターが多く含まれる傾向があります。そのため、金利上昇局面では銀行の利ザヤ改善期待から銀行セクターがパフォーマンスを牽引します。金利低下局面はその逆となる傾向があります。
<図3:TOPIXに対するアクティブリターンと米国金利の変化>
(野村日本株高配当70)
横軸:米国10年債金利の変化
縦軸:野村日本株高配当70の対TOPIXアクティブリターン
(日経平均高配当株50)
横軸:米国10年債金利の変化
縦軸:日経平均高配当株50の対TOPIXアクティブリターン
期間:2012年6月末~2022年6月末
出所:Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成
配当込み指数の月次リターンを用いて分析。
図3はそれぞれの高配当株指数の対TOPIXアクティブリターンと米国金利の変化をプロットしたものです。金利が上昇するとアクティブリターンが+、すなわち市場をアウトパフォームする傾向(その逆に金利が下がるとアンダーパフォームする傾向)があることがわかります。
そのため、金利上昇時のアウトパフォームを狙って戦術的に高配当株ETFを利用するという方法もあります。金利が上昇局面に入ったときに日本株のポートフォリオの一部を高配当株ETFにシフトすることで、市場のパフォーマンスを上回るような投資成果を狙うこともできるでしょう。
高配当株式ETFはもちろん、高いインカムを獲得する手段として使うことができます。しかし、金利に対する反応が比較的明確に出やすいという特徴を生かした戦術的な利用も可能です。
<指数の著作権等>
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(2022年8月作成)