懸念材料がめじろ押しの中国株式市場
POINT
- 工事中断などの住宅問題やゼロコロナ政策、電力不足などが重荷に
- 住宅問題に政府がテコ入れを開始
- 今後は、電力不足問題の動向に注目
中国株式市場は、昨年前半から大きく調整してきました。主要因は、米中間の通商問題、中国当局による大手企業への規制、マンション工事中断に揺れる住宅問題、そして、上海都市封鎖などに見られる厳格なゼロコロナ政策などによる中国景気減速懸念でしたが、住宅問題以外については徐々に改善の兆しが見られており、一旦は他市場に先駆けて戻り相場に入ったと見られました。
しかし、ここへきて「台中問題」や「渇水による電力不足問題」という新たな問題が、市場心理を冷やしていると考えています。「台中問題」はあくまで心理的な問題ですが、「電力不足」については実際に自動車生産が止まるなど、経済に実害が出ており、中国景気が力強く回復できていない要因となっているようです。
このように、中国株式市場は懸念材料がめじろ押しであり、投資家が動きにくい状況にあります。しかし、厳格なゼロコロナ政策に緩和の兆候が見られ、住宅問題も政府のテコ入れが始まりました。8月終盤には雨も降って水力発電が回復し、電力不足に改善の兆しが見られ始めています。
中国株式は予測しにくい状況ですが、割安感は強いため、バリュー投資の一環とすればよい投資先かもしれません。
期間:2020年9月1日~2022年8月31日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
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野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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