
米利上げの長期化観測が再浮上して米ドル円相場が反発
POINT
- 米ドル円相場は昨年10月をピークに下落に転じる(円高米ドル安)
- 米ドル円相場を動かしてきた日米の金融政策スタンスに変化あり
- 1月の米経済指標が総じて強い内容となり、2月は米ドル反発
昨年3月以降、日米金利差の急拡大などを背景に急ピッチで上昇してきた米ドル円相場ですが(円安米ドル高)、10月中旬に一時150円台に載せて以降は、円高米ドル安に反転し、その後水準を切り下げて一時は130円を割り込みました。
これまでの円安米ドル高の原動力になっていた日米の金融政策の違いに変化が見られ始めており、米インフレ動向が落ち着いてきたことで、12月にはFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げペースを減速し始めたことに加え、日銀がこれまでの超金融緩和路線からの転換とも思われる政策修正を行ないました。その結果、米国債利回りに低下期待が、日本国債利回りに上昇期待が浮上し、日米の国債利回りなどの市場金利差の縮小期待が高まり、円高米ドル安が加速したと思われます。
ところが、2月に発表された1月の米経済指標(失業率やインフレ率、小売統計など)がどれも市場予想以上に強い内容だったことで、米景気が依然として堅調で、米利上げの長期化懸念が再燃しました。米国債利回りが再上昇し、日米金利差が再拡大、米ドル円相場はリバウンドし、足元では136円程度となりました。
期間:2021年3月1日~2023年2月28日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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