深堀りETF⑲

ETFの売買単位は何口がいい?呼値と執行コストとは【深堀りETF⑲】

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ETFは銘柄ごとに売買単位を設定しています。よく投資家の皆様からは、わかりやすさの観点などから売買単位を1口にしてほしいといったお声を頂戴します。しかしETFの場合、売買単位はわかりやすさだけでなく、呼値とそれに伴う執行コストの観点を踏まえて設定しています。以下ではETFの売買単位と呼値(よびね)、執行コストの関係について解説します。

<ポイント>
  • ETFでは売買単位や1口あたり価格の水準によって適用される呼値テーブルが異なる
  • 呼値の単位は執行コストの観点からも重要
  • ETFの売買単位は、一定の価格帯では1口以外のほうが1口よりも執行コストは低い

呼値とは

呼値とは株式やETFを取引所で注文する際に表示される価格のことです。株式やETFを売買する際には、例えば5,000円、5,001円、5,002円といったように取引できる価格が決まっています。取引を行うときの、この価格の刻み幅を呼値の単位といい、呼値の単位は株価や1口あたり価格(終値等*)によって異なります。以下の表は東証が定めている呼値の単位であり、呼値の単位がTOPIX500構成銘柄とその他の銘柄で異なることがわかります。

*原則として最終約定値段(ただし、特別気配引け等の場合は当該気配値段)を用い、いずれもない場合は、当日の基準値段(前日の終値や最終気配値段から定められる、制限値幅の基準となる値段)が採用されます。

<呼値テーブル>

株価(1口あたり価格)の水準呼値の単位
以下

TOPIX500構成銘柄
(TOPIX500呼値テーブル)

その他の銘柄
(その他呼値テーブル)

0円1,000円0.11
1,000円3,000円0.51
3,000円5,000円15
5,000円10,000円110
10,000円30,000円510
30,000円50,000円1050
50,000円100,000円10100
100,000円300,000円50100
300,000円500,000円100500
500,000円1,000,000円1001,000
1,000,000円3,000,000円5001,000
3,000,000円5,000,000円1,0005,000
5,000,000円10,000,000円1,00010,000
10,000,000円30,000,000円5,00010,000
30,000,000円50,000,000円10,00050,000
50,000,000円-10,000100,000

(出所)東京証券取引所資料をもとに野村アセットマネジメント作成

ETFについては売買単位と1口あたり価格(終値等)によって適用される呼値テーブルが異なり、以下の表のとおりとなります。売買単位が1口以外の場合は価格水準によらずTOPIX500呼値テーブルを適用、売買単位が1口の場合は、5,000円超についてはTOPIX500呼値テーブル、価格が5,000円以下についてはその他呼値テーブルが適用されます。なお、価格が5,000円以下でその他呼値テーブル適用となる銘柄については、7,000円以上になるとTOPIX500呼値テーブルに変更となります。

ETFの売買単位と価格水準別の適用テーブル>

売買単位1口売買単位1口以外

1口あたり価格
(終値等)

5,000円以下

その他呼値テーブル
(7,000円以上となった場合、
TOPIX500呼値テーブルに変更)

TOPIX500呼値テーブル
5,000円超TOPIX500呼値テーブル

(出所)東京証券取引所資料をもとに野村アセットマネジメント作成

呼値の単位と執行コスト

呼値の単位は単なる価格の刻みではなく、投資家にとっては執行コストに関わります。呼値以外の価格では取引できないため、例えば5,000.5円で買いたいと思っても、実際には5,001円で買うことになり0.5円の追加的なコストが発生します。言い方を変えると、呼値の単位があることで、売値(アスク)と買値(ビッド)の差であるビッド・アスク・スプレッドの縮小を妨げているともいえます。但し、呼値の単位が細かすぎると注文が分散し、気配値ごとの厚み(デプス)が小さくなるという懸念もあるため、適切な呼値の単位が重要です。

呼値の単位の観点からの執行コストは、以下で表すことができます。

執行コスト=呼値の単位/1口あたり価格

この水準が大きければ執行コストは高く、低ければ執行コストは低いという見方をすることができます。

執行コストと1口あたり価格の関係性について、売買単位別にグラフ化してみると以下のようになります。

<売買単位別の執行コストと1口あたり価格の関係>

article127_img1.png

*売買単位1口かつ元々はTOPIX500呼値テーブルの銘柄の推移。
**売買単位1口かつ元々はその他呼値テーブルの銘柄の推移

(出所)東京証券取引所資料をもとに野村アセットマネジメント作成

これをみると売買単位が1口の場合、3,000円超7,000円未満の範囲で執行コストが特に高くなっていることがわかります。これは売買単位が1口のETFの場合、5,000円以下の価格ではその他呼値テーブルが適用されることから、TOPIX500呼値テーブルに比べて適用される呼値の単位が大きいためです。

また、その他呼値テーブル適用の銘柄は1口当たり価格が7,000円以上に上がらないとTOPIX500呼値テーブル適用とはならないため、呼値の単位が10円になる5,000円超7,000未満のゾーンではさらに執行コストが高くなります(売買単位1口(パターン2)の場合)。3,000円以下の場合も売買単位1口のほうが売買単位1口以外に比べ執行コストは高くなっています。

投資家の皆様から「売買単位は1口のほうがわかりやすい」、「ETFはすべて売買単位を1口にしてほしい」という声を頂戴することがありますが、呼値の単位に伴う執行コストの観点からは売買単位が1口以外のほうが1口よりも基本的には有利となります。よってETFの商品設計をする際には、売買単位と執行コスト、1口あたり価格、さらには最低取引金額などを総合的に考慮し、投資家の皆様の利便性を意識したうえで決定をしています。

(2023年7月18日作成)

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