ストラテジストのつぶやき~ETFで広がる投資戦略~

外国リートの2026年見通し

2025年12月17日作成

外国リート(円換算値)は2024年高値を更新している

2025年に入って以降、Jリートのパフォーマンスは顕著に改善してきましたが、外国リートはどうでしょうか?図表1は外国リートの円換算値(灰色)、米ドルベース(赤色)、および、Jリート(青色)の過去2年ほどのパフォーマンスです。外国リートは、円換算値と米ドルベース共に2025年4月初めに今年の安値を付け、その後に回復、円換算値については2024年後半に付けた高値を更新しました。一方、米ドルベースでは回復が鈍く、2024年後半に付けた高値を一時更新しましたが、その後調整しています。円安米ドル高が後押ししたものの、外国リート自体は回復が鈍いようであり、Jリートに対しては劣位にあるようです。

[図表1] 外国リートとJリートのパフォーマンス推移

外国リートとJリートのパフォーマンス推移

期間:2023年12月29日~2025年12月5日、日次
外国リート:S&P先進国リート指数(除く日本)、Jリート:東証REIT指数、共にトータルリターン
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成

外国リートとJリートは中身が大きく異なる

外国リートとJリートでは、その中身(業種別構成比)が大きく異なります。図表2はNEXT FUNDSの外国リートとJリートの業種別配分ですが、Jリートがオフィス中心(複合・総合型はオフィス中心)なのに対し、外国リートは、店舗(ショッピングセンターなど)、工業(物流など)、ヘルスケア(病院施設など)、データセンター、集合住宅など、幅広い分野に分散しています。Jリートは主力のオフィス市況の影響を大きく受けるのに対し、外国リートは景気全般の影響を受けやすいと思われます。また、外国リートの約8割は米国リートなので、米国景気全般の影響を受けやすいと見ることも可能でしょう。その米国景気ですが、K字型経済(富裕層とそれ以外の層の二極化が進んだ経済)などの課題はあるものの、全般としては底堅く推移していると見られており、安定的な拡大が期待できると思われます。

[図表2] 外国リートとJリートの資産内容(業種別配分)

外国リートとJリートの資産内容(業種別配分)

外国リート:NEXT FUNDS外国REIT・S&P先進国REIT指数(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信
Jリート:NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信
共に2025年11月末時点
(出所)野村アセットマネジメントHPより

米国リートは2026年以降に緩やかな成長へ回帰

外国リートの中心を占める米国リートは2026年以降に緩やかな成長路線に回帰すると予想されます。図表3は、米国リート指数と同12ヵ月先予想配当(利回り4%相当)の推移です。米国リート指数は予想配当(利回り4%相当)の周辺を辿りながら推移してきたことが分かります。配当の推移ですが、2020年のコロナショックで落ち込んだ状況からは急速に回復しましたが、その後、直近にかけては成長ペースに鈍化が見られ、それに連動してか、近年の米国リート指数の上昇も鈍っていたものと思われます。一方、今後の予想を見ると(点線部分)、直近よりも成長ペースが加速する予想になっており、2026年以降のパフォーマンス改善が期待できます。配当利回りについても過去平均並みの水準にあり、特段の割高感もないことから、2026年の米国リートのパフォーマンスは期待できると考えており、米国リートが8割を占める外国リートも同様に期待できるのではないでしょうか。

[図表3] 米国リート指数と同12ヵ月先予想配当(利回り4%相当)の推移

米国リート指数と同12ヵ月先予想配当(利回り4%相当)の推移

期間:2010年12月31日~2025年12月5日、日次(点線は2年先の予想)
・米国リート:FTSE NAREIT All Equity REIT指数
・グラフの期間のFTSE NAREIT All Equity REIT指数の平均配当利回りは約4%(12ヵ月先予想配当に基づく)です。配当推移(配当利回り4%相当から算出(配当÷0.04))を赤線で表示しています。
・点線部分の予想は12月8日時点のBloomberg予想に基づく。
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成

<関連銘柄>
NEXT FUNDS 外国REIT・S&P先進国REIT指数(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信(証券コード:2515)
NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(証券コード:1343)

(2025年12月17日作成)

野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト

阪井 徹史

Tetsuji Sakai

1988年以降約20年間、野村アセットマネジメントにて主に日本株のアクティブ運用業務に従事。その後、グローバル・ストラテジストとして、世界の様々な市場の分析や投資アイデア提供活動を継続中。

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