
日銀の金融緩和政策は継続見通しで、今後のポイントはFRBの動き
POINT
- 円安米ドル高水準に上昇も、7月末にかけ米ドルが反落
- 日米の金融政策の違い
- 今後の注目はFRBの動き
米ドル円相場は昨夏頃までは比較的穏やかな値動きでしたが、昨秋以降は円安米ドル高が進んでおり、今年3月以降はそのピッチを急速に速めています。そして、7月には一時140円に迫り、実に24年ぶりの円安米ドル高水準に上昇しました。但し、7月末にかけては米ドルが反落しました。
最近の米ドル円相場を動かしている原動力は日米の金融政策の違いです。FRB(米連邦準備制度理事会)が今年3月に利上げを開始し、その後も利上げを急いでいます。一方の日銀は、黒田総裁が金融緩和政策の堅持を明言しており、世界がインフレ抑制のために引き締めに動く中、非常に特異な存在となっています。こうした日米金融政策の違いによって、一気に円安米ドル高が加速しました。
今後の動向については、日銀の緩和姿勢は継続される公算が高いため、注目はFRBの動きでしょう。利上げ加速で米国の景況感が減速する中、FRBは今後のデータ次第では利上げペースを減速させることを示唆しています。政策が変われば為替への影響も大きく、今後の米インフレや雇用動向などに注目です。
期間:2020年8月3日~2022年7月29日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当レポートは、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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