
米ドル上昇のけん引役である米インフレの主役が交代
POINT
- 米ドル円相場はレンジ内の動き
- 米金融引き締め要因だった米インフレがピークアウトか?
- 今後の注目は賃金や住宅などのサービス・インフレの行方
今年3月以降に急ピッチに上昇してきた米ドル円相場ですが、7月中旬に140円に迫る実に24年ぶりの円安米ドル高水準で一旦のピークを打ち、その後、130~140円程度のレンジ内でもみ合った後、9月に入ってからは140円台に載せています。
最近の米ドル円相場を動かしている原動力は日米の金融政策の違いです。日銀が金融緩和政策の堅持を明言している一方、FRB(米連邦準備制度理事会)はインフレ抑制のために今年3月に利上げを開始し、その後も利上げを急いでいるなど、日米金融政策が大きく異なることで、円安米ドル高が進行しました。但し、7月の米CPI(消費者物価指数)など、米インフレ動向にピークアウトの兆しが見られ始めています。
今後については、注目はFRBの動き、つまりは米インフレの行方でしょう。原油などのエネルギー・インフレには鎮静化の兆しが見られ始めている一方、住宅をはじめとしたサービス・インフレは高止まりしており、主役が交代しています。したがって、今後はサービス・インフレ動向が米ドル円相場に大きく影響するでしょう。
期間:2020年9月1日~2022年8月31日、日次
(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当レポートは、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。
野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト
阪井 徹史
Tetsuji Sakai
マーケット・アウトルック
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