日銀のETF買い入れについて【ETFとは③】

この記事は、約3分で読めます

ETF買い入れの経緯と狙い

株式市場に関するニュースなどで日銀によるETFの買い入れが話題になることが増え、ETFに関心を持たれた方もいらっしゃるでしょう。

日銀による金融緩和の一環としてETFの買い入れが初めて実施されたのは、2010年12月です。当初は、残高上限4500億円、期限は2011年12月末、対象となる連動対象指数はTOPIXと日経225のみでした。

数回にわたり金額上限引き上げと期限延長がなされた後、黒田総裁となり、「量的・質的金融緩和」が導入された2013年4月には、日銀によるETF保有残高を年間1兆円増加させることが発表されました(いわゆる異次元緩和)。

その後、年間買入額は、2014年10月には約3兆円、2016年7月には約6兆円※に増額されています。この間2014年11月には買入対象指数にJPX日経400が追加され、また2016年3月には、「設備投資および人材投資に積極的に取組んでいる企業を支援するためのETF買入等に関する特則」(以下、設備・人材投資ETF枠)が導入され、この枠で年間3000億円の買い入れが実施されています。※2020年3月16日に日本銀行より、当面は、年間約12兆円に相当する残高増加ペースを上限い、積極的な買入を行う、との発表がなされております。

ETF買い入れの狙いについて、日銀は「量的・質的金融緩和は2%の物価安定目標の実現を目指すこと」であり、「長期国債やETF、J-REITの買い入れによってイールドカーブ全体の金利の低下を促し、資産価格のプレミアムに働きかける効果(リスク・プレミアムの縮小を促す)」としています。つまり、金融機関や投資家に対して、リスクテイクを促すことも企図しているのです。こうしたリスク資産運用や貸出を増やすことを、日銀では「ポートフォリオ・リバランス効果」とも呼んでいます。

ETF買い入れの内容と推移

下図は、年間約6兆円におよぶETF買い入れがどのように行われているのかを示したものです。2016年10月からは、株式市場における特定銘柄の価格形成への影響を緩和する狙いで、市場全体を網羅したTOPIX連動型ETFのウェイトが大きくなっています。

日銀のETF買い入れがどのように行われているのかを示したのが図1です。

2016年10月から、株式市場における特定銘柄の価格形成への影響を緩和する狙いで、市場全体を網羅したTOPIX連動型ETFのウェイトが大きくなっています。また、2020年5月からは購入方法が時価総額に比例させたものから、銘柄毎の市中流通残高※に概ね比例した割合へと変更になっています。※市中流通残高とは、日銀以外の投資家が保有する残高のことです。


[図表1] 買入イメージ図

投資枠投資対象購入方法
4.2兆円TOPIX銘柄毎の時価総額に比例
1.5兆円TOPIX日経225JPX
日経
400
銘柄毎の時価総額に比例
0.3兆円設備・人材投資ETF
JPX日経400(設備・人材投資ETFへの投資枠を超過した場合)
年間約3000億円を毎日購入(1日約12億円)。
設備・人材投資ETFは残高の半分が上限。

(出所)日本銀行開示資料等より野村アセットマネジメント作成

図2は、2010年からのETFの買い入れ推移を示しています。


[図表2] 日銀のETF買い入れ推移(期間:2010年~2020年)

article_1-3_img01_2101.png

具体的な買い入れは、日銀が信託銀行と信託契約を設定し、信託銀行が市場からのETF購入を代行しています。詳細は、日銀ホームページで開示されています。実際の買付額等詳細は、日銀ホームページで開示されています。

買入価格は「原則として取引所における売買高加重平均価格」が目安となっています。設備・人材投資ETF枠以外の年間5.7兆円部分については、午前中(前場)市場が下落した日に、午後(後場)買付が観測される場合がほとんどです。

ETFの貸付け

日銀は、ETF市場の流動性改善の観点から、2020年4月よりETF貸付制度を導入しました。 ETFは、マーケットメイカー(証券会社や高速取引業者)により売り気配と買い気配が常に提示されることで、市場での流動性が改善されています。

マーケットメイカーは取引時間帯においては、開示されているETFの保有銘柄やインディカティブNAV(ETFの基準価額のリアルタイム推定理論値)等を参考にして、値付け業務を行っています。

日銀が保有するETFが貸し出されることにより、マーケットメイカーが投資家の買いに対して売り手となった場合に、ETFの設定を通じて調達しなくても一時的にETFを借り入れることができることで、値付け業務が行いやすくなります。

日銀買付対象ETF銘柄

現在、野村アセットマネジメントが運用するNEXT FUNDSシリーズで日銀による買付対象となっているETFは、以下の5銘柄です。

(2021年1月更新)

関連記事

よく読まれている記事

記事カテゴリ