ストラテジストのつぶやき~ETFで広がる投資戦略~
10年国債利回りが3%に達した国内債券の魅力度を再考する
2026年10月8日作成
10年国債利回りが3%台に乗せた足元で、国内債券ETFの需要が再び高まっている。
2026年2月、「利回りが急上昇している国内債券の魅力度は?」という投稿で国内債券ETFを取り上げました。当時の10年国債利回りは2%台前半でしたが、半年が経過し、利回りはさらに上昇して3%台に乗せました。その後のフォローと今後の見通しを考えてみました。
図表1は、NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信(NF・国内債ETF)の基準価額(100口あたり)と純資産総額、及び、日本10年国債利回りの推移です。
当ETFの純資産総額は、2023年秋頃までは1,000億円以下で推移していましたが、10年国債利回りが1%に接近した2023年11月~24年2月にかけて断層的に増え、一時2,000億円を上回りました(青点線枠部分)。
その後は、更に利回りが上昇する中で純資産総額は概ね横ばいでしたが、利回りが3%台に乗せた足元で再び増加してきました(赤点線枠部分)。いよいよ本格的に投資家の需要が高まるのでしょうか?
[図表1] NF・国内債ETFの基準価額と純資産総額、日本10年国債利回りの推移

期間:2018年1月4日~2026年9月25日、日次
日本10年国債利回りはBloomberg Generic
(出所)Nomura Fundmark、Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成
日本の10年国債利回りは3%台へ上昇し、CPIの前年同月比を上回り始めた
図表2は、日本の10年国債利回りと、CPI(除く生鮮食品、前年同月比)(以下、単に「CPI」と表記します)、及び、それらの差の推移です。
足元で10年国債利回りが3%台に乗せてきましたが、9月25日時点で、利回りからCPI(8月分)を差し引いた実質利回りも1.4%程度まで上昇しています。
この実質利回りを、10年国債利回りが比較的安定していた時期(1997年4月の消費税増税の影響が消えた98年4月末から、アベノミクス政策による大規模金融緩和の開始直前の2013年3月末まで、図表2の青色点線)で見てみると、その平均値は1.6%程度であり、足元の水準より若干高い水準でした。但し、日銀の国債買い入れによる利回り押し下げ効果(ストック効果)を考慮すると(26年2月の投稿「利回りが急上昇している国内債券の魅力度は?」参照)、実質利回りは1.6%より多少低くても投資家の国内債券への需要が高まる可能性があり、投資家による国内債券への需要が増える条件は、一定程度整った可能性があります。
[図表2] 日本の10年国債利回りとCPI(消費者物価指数)、及び、それらの差の推移

期間(日本10年国債利回り):1990年1月末~2026年9月25日、月次
期間(その他):1990年1月~2026年8月、月次
※図中の青色点線は「日本10年国債利回り-CPI(除く生鮮食品、前年同月比)」の1998年4月末~2013年3月末の平均値
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成
国内債券ETFのパフォーマンスが改善に転じるカタリストは?
とはいえ、国内債券市場は長年下落を続けてきており、銀行などの投資家が損切りをしてきた経緯もあります。投資家を呼び戻すには、背中を押す何らかのカタリストが必要と思われます。
図表3は、筆者が考える国内債券市場に投資家を呼び戻す可能性があるカタリストです。
まず、大手国内年金基金ですが、アベノミクス政策を受けて2014年秋に国内債券偏重の資産配分を見直し、国内株式や外国資産を増やしました。結果はご存じの通りに大成功でした。時は流れ、国内金利や円相場など、その後の投資環境が様変わりする中、資産配分比率の見直しが再びあるかに注目が集まり、見直しがあれば投資家への心理的影響があることが予想されます。
個人投資家については、1990年頃の高金利時代に、国内の高利回り債券を求めて銀行の窓口に行列ができるなど、国内債券に人々が殺到したことがありました。近年、個人投資家の投資先は「全世界株式」などの海外資産が主流ですが、久しぶりに国内債券へ回帰するのでしょうか?
そして、最後は制度変更で、与野党から国債に関する税制の検討が要望されており、個人向け国債などのNISAの投資対象への追加や、国債を相続税の優遇対象に含めるか否かなどが挙げられています。こうした制度変更が行なわれれば個人投資家の背中を押しうると考えます。
こうしたカタリストが徐々に揃ってくれば、国内債券ETFのパフォーマンス改善も期待できるでしょう。
[図表3] 国内債券市場を動かす可能性があるカタリスト

<関連銘柄>
NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信(証券コード:2510)
(2026年10月8日作成)