ストラテジストのつぶやき~ETFで広がる投資戦略~

日本成長戦略「17の戦略分野」の恩恵を受ける出遅れ業種は?

2026年11月6日作成

日本政府が日本成長戦略「17の戦略分野」をまとめる

2026年7月、日本政府は、『日本成長戦略「17の戦略分野」』をまとめました。

「世界を見渡せば、政府が一歩前に出て、官民が手を取り合って重要な社会課題の解決を目指す新たな産業政策が大きな潮流となっている。(中略)これまでにない大胆かつ柔軟な発想で、内外一体の思い切った政策を打ち出していく」としました。

そして、日本は技術革新力や労働の効率性などを表す数値は他国と遜色がないものの、「国内投資が圧倒的に不足している」ことが問題とし、国内投資の促進に徹底的なてこ入れをしていく、としました。

図表1は、17の戦略分野、および、主要な製品・技術等の一覧です。

非常に多岐にわたっているように見えますが、主要な製品・技術等を眺めると、日本が自国で十分に供給できずに海外に頼っているため、貿易赤字の原因になっているようなものが目立ちます。

AI(人工知能)や半導体、先端セキュリティ製品、小型無人航空機(防衛)、民間航空機、ロケット、バイオ医薬品、再生医療等製品、革新的デバイスを活用した先端医療、太陽電池、洋上風力、食料関係など、非常に多くの分野が該当しそうです。これらの自国供給能力を高められれば、様々なメリットがありそうです。

[図表1] 17の戦略分野、および、主要な製品・技術等

戦略分野主要な製品・技術等(一部抜粋)
1AI・半導体AIロボット、半導体、領域特化型AIなど
2デジタル・サイバーセキュリティ先進セキュリティ製品・サービス、データセンター、蓄電池、自動運転など
3情報通信オール光ネットワーク、海底ケーブル、次世代通信など
4量子量子コンピューティング、量子通信・ネットワークなど
5防衛産業小型無人航空機、艦艇など
6航空・宇宙民間航空機、無人航空機、空飛ぶクルマ、ロケット、人工衛星など
7海洋海洋無人機、海洋状況把握、革新的海洋技術開発など
8造船次世代船舶、船舶修繕、LNG運搬船など
9マテリアル(重要鉱物・部素材)永久磁石、グリーン鉄、革新的金属部素材、低炭素金属部素材など
10合成生物学・バイオバイオものづくり、バイオ医薬品・再生医療等製品等
11創薬・先端医療再生医療等製品、感染症対応製品、バイオ医薬品、革新的デバイスなど
12資源・エネルギー安全保障・GX次世代型太陽電池、水素等、次世代型地熱、洋上風力、次世代革新炉など
13フュージョンエネルギーフュージョンエネルギーなど
14防災・国土強靭化防災技術など
15港湾ロジスティクス港湾荷役機械、港湾物流DX、次世代型倉庫など
16フードテック植物工場、陸上養殖、食品機械など
17コンテンツゲーム、アニメ、マンガ、音楽、実写など

(出所)内閣官房(https://www.cas.go.jp/index.html)「日本成長戦略概要」を基に野村アセットマネジメント作成

日本成長戦略「17の戦略分野」とTOPIX-17業種を照らし合わせてみる

図表2は、TOPIX-17シリーズの各業種指数の過去3年程度のパフォーマンス推移です。

かなり大きな差がついていることが分かり、最もパフォーマンスが良かったのが銀行で、2番目が鉄鋼・非鉄です。TOPIX(東証株価指数)のパフォーマンスを上回った業種が6業種で、下回ったのが11業種です。

TOPIX-17業種と戦略分野の主要な製品・技術等を照らし合わせてみると、AI(人工知能)や半導体、革新的デバイスを活用した先端医療、太陽電池は電機・精密や素材・化学、先端セキュリティ製品やコンテンツは情報通信・サービスその他、小型無人航空機(防衛)や民間航空機、ロケット、洋上風力は自動車・輸送機や機械、バイオ医薬品や再生医療等製品は医薬品、食料関係は食品が当てはまりそうです。また、幅広い分野に建設・資材も当てはまりそうです。

[図表2] TOPIX-17シリーズの株価指数の推移

TOPIX-17シリーズの株価指数の推移

期間:2023年12月29日~2026年10月23日、週次
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成

その中で株価が出遅れている業種はどれか?

「17の戦略分野」の主要な製品・技術等には様々な業種が当てはまりそうですが、今回はその中から近年の相対パフォーマンスが出遅れている業種を抽出し、長期の視点でポテンシャルを考えてみました。

図表3は、TOPIX-17業種のうちで、前述した「戦略分野の主要な製品・技術等」に当てはまりそうであり、かつ、近年の株価指数のパフォーマンスがTOPIXを下回った業種です。

具体的には、機械、建設・資材、情報通信・サービスその他、食品、素材・化学、医薬品、自動車・輸送機ですが、これらの中で筆者が注目したいのは食品と素材・化学、医薬品です。

今回注目した3セクターは、日本成長戦略にも説明されているように、AIの活用者として恩恵を受けることが期待されると考えています。

食品セクターは、AI等を活用した国産バイオマスの活用や植物工場、品種開発などが期待され、海外からの輸入を少しでも置き換えていくことが期待されます。素材・化学セクターは、元来、日本は高機能素材分野に強みがあることから、AI等を活用して高機能素材等を組み合わせて複合新素材開発を伸ばしていくことが期待されます。

また、医薬品セクターについては、大手中心に新薬開発への期待が高まっていることに加え、AIを活用したバイオ製造技術プラットフォーム高度化やiPS細胞等の技術を国内生産に展開していくことへの期待もあります。

それぞれ、AIの活用者として恩恵を受けやすい立ち位置にいることが長期的なポテンシャルを高め、中長期的な観点で今後は注目を集める存在になっていくと考えています。

[図表3] TOPIX-17シリーズの一部の業種の株価指数の推移

TOPIX-17シリーズの一部の業種の株価指数の推移

期間:2023年12月29日~2026年10月23日、週次
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成

<関連銘柄>
NEXT FUNDS 食品(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1617)
NEXT FUNDS 素材・化学(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1620)
NEXT FUNDS 医薬品(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1621)

(2026年11月6日作成)

野村アセットマネジメント
シニア・ストラテジスト

阪井 徹史

Tetsuji Sakai

1988年以降約20年間、野村アセットマネジメントにて主に日本株のアクティブ運用業務に従事。その後、グローバル・ストラテジストとして、世界の様々な市場の分析や投資アイデア提供活動を継続中。

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