ETF投資のツボ
資金フローとスマートマネー効果
2026年6月16日作成
ETFの資金フロー
ETFの資金フローについては以下の記事でも紹介されているとおりETFへの資金の流れ(フロー)を集計したものです。具体的には、指定参加者(AP)がETFの運用会社に設定あるいは解約(交換)を行い、ETFの口数が変化することで生じます。
ETFの資金フローに関する詳細記事はこちら:
国内ETFの資金フローから見た投資家動向 | NEXT FUNDS
ETFの資金フローは、例えば投資家需要が高まった場合には、APを通じて追加的にETFが発行されることになるので、基本的にはインフロー(資金流入)となり、逆の場合はアウトフロー(資金流出)となります。
すなわち、ETF(ファンド)への資金フローは投資家行動を表す指標といえるのです。
スマートマネー効果
ETF(ファンド)への資金フローを見ることで、投資家がどのような銘柄や資産に資金を配分しているのかを把握することができます。こうした資金フローは、投資家の投資判断や市場の見方を反映するものと考えられます。
実際、ファンドに投じられる資金フローとファンドの将来パフォーマンスが正の関係にあるという「スマートマネー効果」が多くの学術論文で報告されてきました。これは、投資家は事前に将来のパフォーマンスが良好なファンドに資金を配分することができる、という銘柄選択能力の高さを表していると解釈できます。
この「スマートマネー効果」はGruber(1996)で初めて検証され、投資家の資金が将来アウトパフォームするファンドに流れる傾向があることが示されました。その後、Zheng(1999)では小規模ファンドで特に「スマートマネー効果」がみられることを確認しました。しかしながら、その後の研究であるSapp and Tiwari (2004)ではスマートマネー効果は、株式のモメンタム効果に過ぎないことを示しました。上記とは異なる説明として、スマートマネー効果は持続的なファンドへの資金の流入(流出)が、ファンドの保有する原証券にプラス(マイナス)の価格圧力をかけることで生じる「価格圧力仮説」に過ぎないともされています(Lou,2012; Jiang and Yuksel,2017)。
このように、スマートマネー効果の解釈やメカニズムはまだ明らかにされていない部分もありますが、いずれにしろファンドへの資金フローは銘柄選択を行う上では参考になる情報のひとつといえるでしょう。
2025年度の資金フロー動向
ここで国内ETFの2025年度の資金フロー動向をみてみましょう。
図表1はカテゴリー別でみた2025年度の年間資金フローランキングです。ここでは上位10のカテゴリーを表示しています。最もフローを集めたカテゴリーはコモディティとなっており、年間2.8兆円ほどで他のカテゴリーとは圧倒的な差がついています。これは主に金価格に連動するETFがフローを集めたためです。
それ以外のカテゴリーをみてみると、4つが日本株を主要投資対象とするカテゴリーとなっています(「日本株高配当」、「日本株レバレッジ・インバース」、「日本株テーマ」、「日本株アクティブ」)。これは日本株マーケットが非常に好調であったことが影響しているといえるでしょう。
図表1:カテゴリー別の2025年度資金フローランキング

期間:2025年4月~2026年3月
(注)カテゴリーについては各種開示資料を基に付与
(出所)Bloomberg、NRI-IDSのデータを野村アセットマネジメント作成
次にカテゴリー別でみたときに2番目にフローを集めた「日本株高配当」のETFについて、より詳細にみていきます。
図表2は、日本株高配当ETFが連動対象とする指数別でみたときの資金フローランキングです。最もフローを集めたのは、「日経平均高配当株50指数」で1,370億円ほどを集めました。当社のNF・日経高配当50 ETF(NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489))はこの指数を連動対象としています。
図表2をみてわかる通り、同じ高配当系指数でも資金フローでみるとばらつきがあることがわかります。これはまさに投資家の投資判断が反映された結果といえます。
図表2:日本株高配当ETFにおける連動対象指数別の2025年度資金フローランキング

期間:2025年4月~2026年3月
(出所)Bloomberg、NRI-IDSのデータを基に野村アセットマネジメント作成
このようにETFの資金フローは、投資家行動を表す鏡であり、投資家がどのような資産や戦略に注目しているのかを確認することができます。また、「スマートマネー効果」といった現象も確認されていることから、ファンド選択において資金フローは参考になりうる情報といえるでしょう。
Gruber, M. J. (1996). Another puzzle: The growth in actively managed mutual funds. Journal of finance, 51(3), 783-810.
Jiang, G. J., & Yuksel, H. Z. (2017). What drives the "Smart-Money" effect? Evidence from investors' money flow to mutual fund classes. Journal of Empirical Finance, 40, 39-58.
Lou, D. (2012). A flow-based explanation for return predictability. Review of Financial Studies, 25(12), 3457-3489.
Sapp, T., Tiwari, A. (2004). Does stock return momentum explain the "smart money" effect? Journal of Finance, 59(6), 2605-2622.
Zheng, L. (1999). Is money smart? A study of mutual fund investors' fund selection ability. Journal of Finance, 54(3), 901-933.
<関連銘柄>
NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)
NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信(1577)
NEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投信(2529)
NEXT FUNDS FTSE日本株高配当キャッシュフロー50指数連動型上場投信(518A)
NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信(1328)
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(2026年6月16日作成)