ETF投資のツボ

トラッキングエラーとトラッキングディファレンス

2026年7月7日作成

インデックスファンドを評価するうえで、トラッキングエラーとトラッキングディファレンスは代表的な指標の2つです。

トラッキングエラーとトラッキングディファレンスに関する詳細記事はこちら:
ETFのパフォーマンスを評価!インデックス運用編【深堀りETF㉒】

しかしながら、これらは似て非なる指標といえます。トラッキングエラーはベンチマークとの乖離のリスクを表す指標である一方、トラッキングディファレンスはベンチマークとファンドの単純なリターン差です。したがって、両者はファンドのトラッキング・パフォーマンスを異なる観点から評価するものであり、投資家は自身の投資目的に応じて適切に使い分ける必要があります。

ここで東証上場のETFについて、トラッキングエラーとトラッキングディファレンスの比較をしてみました。図表1は連動対象指数ごと(TOPIX、日経225、JPX400、東証REIT)にわけて、各ETFのトラッキングエラーとトラッキングディファレンスの数値とそれらの順位を掲載しています。トラッキングエラーは数値が低いほど良好であり、トラッキングディファレンスは数値が高いほど(0に近いほど)良好であることから、それぞれ順位をつけています。

図表1:トラッキングエラーとトラッキングディファレンスの比較

トラッキングエラーとトラッキングディファレンスの比較

(注)2021年5月から2026年4月(60カ月間)の月次のファンドリターンおよびベンチマークリターンのデータをもとに集計。いずれも年率化した数値を表示している。
(出所)Bloombergのデータを用いて野村アセットマネジメント作成

結果をみると、トラッキングエラーとトラッキングディファレンスの順位が一致するケースはまれであることがわかります(ハイライトした4ファンドのみでした)。すなわち、トラッキングエラーが良好だからといって、トラッキングディファレンスが良好とは限らず、その逆もいえるということです。例えば、東証REIT指数に連動するETFに関して、トラッキングディファレンスが最も良好なファンドは、トラッキングエラーで見ると7番目の順位となっています。他の指数をみると日経225に関しては、唯一トラッキングディファレンスが最も良好なファンドはトラッキングエラーも最も良好となっていますが、トラッキングディファレンスが2番目に良好なファンドは、トラッキングエラーでは7番目となっています。このような違いが生じる要因として、トラッキングディファレンスは前述の通りベンチマークとファンドのリターン差であるため、運用管理費用(信託報酬)の影響をより直接的に受ける指標である一方、トラッキングエラーはトラッキングディファレンスのばらつき(標準偏差)を表すため、設定・解約(交換)時のポートフォリオ構築やリバランスの精度、売買コストなどの影響がより反映されていると考えられます。

図表2は、連動対象指数ごとにトラッキングエラーとトラッキングディファレンスの相関係数を数値と順位それぞれで算出したものです。数値ベースでは負の相関、順位ベースでは正の相関であるほど、両指標の評価が整合的である(トラッキングエラーが良好なファンドはトラッキングディファレンスも良好)ということを表しています。結果を見ると、TOPIXに関してはこれらの指数の中では、比較的両指標が連動している一方、東証REIT指数に関しては相関係数の水準がほぼ0となっており、両指標の関係が弱いといえます。このように連動対象指数によっても、トラッキングエラーとトラッキングディファレンスの関係は異なっており、インデックスファンドを選択する際には自身の投資目的を把握したうえで、適切に使い分けることが重要といえるでしょう。

図表2:トラッキングエラーとトラッキングディファレンスの相関

トラッキングエラーとトラッキングディファレンスの相関

(注)2021年5月から2026年4月(60カ月間)の月次のファンドリターンおよびベンチマークリターンのデータをもとに集計。各指標に連動するETF内でのトラッキングエラーとトラッキングディファレンスの相関係数を算出している。
(出所)Bloombergのデータを用いて野村アセットマネジメント作成

<関連銘柄>
NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信(1306)
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(1321)
NEXT FUNDS JPX日経インデックス400連動型上場投信(1591)
NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343)

(2026年7月7日作成)

野村アセットマネジメント

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