FP が伝授!新 NISA 使いこなし術

成長投資枠の活用方法(3)REITおよびREIT ETFの活用【新NISA⑤】

2024年2月22日作成

2024年からNISA制度(少額投資非課税制度、以下「NISA」と記載)が大幅に生まれ変わり、一人あたり投資元本1,800万円まで、期限なく非課税で投資可能になりました。

本コラムでは、リニューアル・恒久化され、使い勝手も大幅に向上したNISAについて、ライフプランや世代に応じた活用方法をご紹介していきます。

第1回では新NISA制度の概要、第2回では50代~60代のミドル・シニア世代にとっての活用方法をご説明しました。続く第3回、第4回では現役引退後の年金生活を送る際に、あるとうれしいインカムゲインを目的とした投資として個別株投資、高配当ETF(上場投資信託)を取り上げました。

そして、第5回となる今回はREIT(不動産投資信託)およびREITを対象としたETF(以下、REIT ETF)についてご説明します。

手軽に分散しながらインカムゲインを獲得しやすい不動産への投資

公的年金収入に上乗せする形でインカムゲインを得るなら、アセットクラスの中では不動産が選択肢として考えられます。不動産は比較的イメージしやすいと思いますが、入居者に貸し出すことで毎月家賃収入が得られますので、まさに定期的なインカムゲインが得られる資産と言えます。

もちろん不動産価格そのものが値上がりすることで得られるキャピタルゲイン(値上がり益)も考えられますが、継続的に安定的な収入源となるのはインカムゲインである家賃収入です。

なお、不動産への投資については、以下の記事も併せてご覧ください。
不動産に投資するとはどういうことなのか?【資産形成⑯】

不動産を対象とした投資信託であるREIT(不動産投資信託)

インカムゲインを得るためには不動産が適していると言っても、実際にマンションやアパートなどの不動産に投資するのは容易ではありません。そういった時に便利なのが、不動産を対象とした投資信託であるREIT(不動産投資信託、Real Estate Investment Trust、リート)です。

REITは、多くの投資家からお金を集めて不動産に投資し、そこから得られる賃料収入や売却益などを投資家に分配していく投資信託です。一般的に、実際の不動産は売買するのに数ヶ月など時間がかかり流動性が低い資産とされていますが、REITであれば証券取引所に上場していますので、いつでも取引が可能です。

REITが投資対象とする不動産の種類には、オフィス、住居、商業施設、物流施設、ホテル、ヘルスケアがあります。

REITでの投資対象となる不動産の主な種類

・オフィスビル
・居住(賃貸マンションなど)
・商業施設(ショッピングセンターなど)
・物流施設(倉庫など)
・ホテル
・ヘルスケア(医療施設、介護施設など)

REITには、こういった種類のうち1種類だけに特化して投資するものもあれば、複数種類を対象として投資するものもありますが、一般的に1つのREITで投資する物件数は数十から数百程度です。

REITを対象としたETFならさらに分散が可能

REITであれば一定数の物件に分散投資できるのですが、さらに幅広い物件を対象として分散投資したい場合には、REITを対象としたETF(REIT ETF)が選択肢になります。複数のREITに投資するETFですので、ETF一本で幅広い物件に投資することが可能になります。

 REIT ETFの中でも、日本国内でとにかく幅広い物件に分散投資したいという場合には、東証REIT指数に連動するように運用されるETFがあります。東証REIT指数は、東京証券取引所に上場しているすべてのREITを対象とした時価総額加重平均ベースで構成されるインデックスです。

インカムゲインを目的としたREITおよびREIT ETF選びの3つのポイント

シニア世代が現役引退後にインカムゲインを得ることを目的としたREITおよびREIT ETFを選ぶ際のポイントは次の3つになります。

高配当ETF選びのポイント

ポイント①:分配金利回り

ポイント②:投資対象および分散の程度

ポイント③:国内不動産か、海外不動産か

ポイント①:分配金利回り

インカムゲインを目的としていますので、まずは保有した場合に1年間で受け取れる分配金を購入代金で割った分配金利回りがどの程度かということです。株式の配当とは異なり、不動産の賃料収入は比較的安定する傾向にありますが、今後どのくらいの分配金が期待できるのかチェックしておくことが大切です。

ポイント②:投資対象および分散の程度

2つ目のポイントは、REITやREIT ETFの実際の投資対象がどんな物件で、どのくらい分散されているか、です。不動産に投資するといっても、すでにご説明したオフィスビル、住居など不動産の種類もありますし、都心部や地方・郊外といった立地もあります。日本に地震が多いのはご存知の通りですが、対象物件が特定の地域に集中していると、リスクが高いと言えます。

REITやREIT ETFが投資する対象物件がどの程度分散されているか、投資対象物件の概要を理解しておくことが大切です。また、REITよりも、REIT ETFの方がより分散することが可能になりますが、REITと比べると信託報酬などの費用を追加的に負担する形になりますので、分散で得られるメリットとコストのバランスをチェックしておくことも大切です。

ポイント③:国内不動産か、海外不動産か

不動産といっても、国内の不動産もあれば、海外の不動産もあります。海外のREITでは米国、オーストラリア、英国といった国の市場規模が比較的大きくなっており、海外不動産へも分散して投資したい場合にはこういった国の不動産を対象としたREITが選択肢として考えられます。

円安になると、輸入に依存しているガソリンや食料品などの物価が上昇するインフレになりますが、REITやREIT ETFを通じて海外不動産を保有しておけば、インフレ時に入ってくるインカムゲインも円建てでは増加することになりますので、外国不動産に投資するREITやREIT ETFを一部組み入れておくと、インフレ対策として有効です。

今回は、インカムゲイン獲得を目的としたNISA成長投資枠の活用方法として、REITおよびREIT ETFをご紹介しました。不動産は株式と比べると、比較的安定的なインカムゲインが期待できると言えます。NISA成長投資枠の活用方法として検討してみていただければと思います。

(2024年2月22日作成)

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