負けないためのETF投資戦略

様々なESG系株価指数への投資を考える【ETF投資戦略㉓】

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前回は、日本で上場している様々な株式ETFの原指数の特徴をスタイル分析という方法を用いて明らかにしてきた。今回は、海外に上場している様々なESG系ETFの原指数の特徴を同様の分析手法で簡単にみていきたい。

まず、図1に各指数のリターン、リスクを示した。比較のため、MSCI ACWI指数、TOPIXを載せた。

図1 リターンとリスク(期間:2016年1月~2022年1月)
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注1)月次のリターンより算出。円換算、年率表示。
注2)図に示した指数は以下の通り。

出所)Bloombergよりウエルス・スクエア作成。分析にあたって、環境や社会を意識したETFの中で比較的規模が大きいETFの原指数を分析した。


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この期間では、日本株であるTOPIXより海外株中心のMSCI ACWI指数の方が、リスクも高く、リターンも高い。また、対MSCI ACWI指数と比べて、A、B、Cはリターンが高いものの、D、E、Fは低い。特にDはTOPIXのリターンとほぼ同じ水準である。


次に、スタイル分析の枠組みを用いて、特性をみていこう。分析結果を図2に示した。分析方法は、図の注釈に記載したが、リターンの時系列データを、MSCI ACWI、スタイル、規模で重回帰分析した結果のスタイルと規模の感応度(係数)を示したものである。

図2 スタイル感応度と規模感応度の関係(期間:2016年1月~2022年1月)
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注)分析にあたり、各指数の変化率=α+β1×MSCI ACWIのリターン+β2×(バリュー株指数のリターン-グロース株指数のリターン)+β3×(小型株指数のリターン―大型株指数のリターン)+εの形で重回帰分析したβ2を横軸、β3を縦軸に示した。ここでのバリュー株指数、グロース株指数、小型株指数、大型株指数はいずれもMSCI ACWIスタイル指数より円換算したリターンで計測。

出所)Bloombergよりウエルス・スクエア作成。


図1でA、B、CがMSCI ACWIよりリターンが高いと述べたが、よりリターンの高かったA、C、のグロース感応度はより高い。逆にリターンの低かったD、E、Fはバリュー感応度が高い。最もリターンの低かったDはバリュー感応度が高く、かつ小型株感応度が高かった。図3に各指数の対MSCI ACWIの相対推移を示したが、小型株は2018年半ば以降、不調であり、金利上昇と共にバリュー株が有利になっている最近でも、バリューに連動して反発しているわけではない。

今回取り上げたものは、バリュー感応度が高いものやグロース感応度が高いものなど、バラエティに富んでおり、スタイルの見方に応じた投資が行いやすいと言える。

図3 MSCI ACWI指数に対する各スタイル指数の相対推移
(期間:2016年1月末~2022年1月末、月次)
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注)MSCI ACWIスタイル指数をMSCI ACWI指数で除したもの。2016年1月末を100とした。

出所)Bloombergよりウエルス・スクエア作成。


足元は世界的なインフレ率の上昇により、各国金融当局の金融政策は転換しつつある。株式市場で言えば、低金利・金余りに依拠したグロース株相場からバリュー株相場に転換しつつある。前回のコラムと同様、指数の名前やリターンやリスクだけでなく、実際の特性に注目した上で、大きな環境変化については、今まで以上に留意が必要である。


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(2022年2月作成)

ウエルス・スクエア
チーフ・アセットアロケーター

竹崎 竜二

RYUJI TAKEZAKI

1999年から野村アセットマネジメントにて、グローバルな資産配分や銘柄選択の投資手法、新商品の開発等に従事。2016年ウエルス・スクエアを立ち上げる。現在、チーフ・アセットアロケーターとして、ファンドラップ運用等に従事。著書多数。

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