(番外編)【イベントレポート】楽天証券ETFカンファレンス2021

2021年11月27日、「楽天証券ETFカンファレンス2021 あなたならどうする?今後の資産運用」がオンラインにて開催されました。当社からはチーフ・ETF・ストラテジストの渡邊が、パネルディスカッション『世界と日本におけるETF投資の展望』に登壇しました。

楽天証券 常務執行役員株式・デリバティブ事業本部長 土居氏の司会進行により、運用会社の枠を超えたパネリスト3名によるパネルディスカッション形式で投資家の皆様のご質問にお答えしました。当社渡邊の回答を、補足を交えて紹介いたします。

Q)ETFは投資信託のように長期保有するものなのでしょうか。それとも、株式のように値動きを見て売買するものなのでしょうか。

A)ETFにはtrading vehicle:取引のための道具と、 investment vehicle:長期投資のためのツールという2つの側面があり、どちらにも対応可能です。但し、自分の投資スタンスを決めてから投資するETFを決めることが重要です。

例えば、レバレッジやインバース、ダブルインバースなどの短期投資のためのETFを長期投資に使ってしまうと予期せぬパフォーマンスの劣化や意図しない結果になってしまうことがあります。また逆に、短期投資目的なのに、あまり流動性のないものを使うと余計な取引コストがかかってしまう場合もあります。

Q)例えば100万円でETFを運用する場合、どのようなポートフォリオを組みますか。

A)保有している資産の中で国内資産が多くなっている場合は、米国株式と米国債券を中心に考えるのもよいでしょう。

日本株への投資が中心だった皆様の中にも、世界一の経済大国である米国株式への投資に興味を持たれている方も多いと思います。例えば、NEXT FUNDSは、米国株式の3大指数であるS&P500、NYダウ、NASDAQ-100に連動するETFを業界最低水準コストでラインナップしています。さらに、ESGにご興味のある方であれば、S&P500ESG ETFを取り入れるのもよいでしょう。債券については、米国国債指数に連動するETFをご活用いただくのもよいと思います。


図1 NEXT FUNDSの米国株・債券ETF

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(出所)野村アセットマネジメント作成

※2021年10月29日時点(*2022年12月21日以降0.099%)
※資金動向、市況動向等によっては上記のような運用ができない場合があります。

米国株式指数については、S&P500で十分という考え方もありますが、NYダウとNASDAQ-100のパフォーマンスを比較した場合(図2)、左側の過去3年のパフォーマンスではNASDAQ-100が大きく上回っていますが、右側の今年の上半期だけで見るとNYダウがアウトパフォームしています。一般的にグロース株色の強いNASDAQ-100に対して、金利が上がっていくようなバリュー株が強い局面では、NYダウが強くなる傾向があります。FED(米国の連邦準備制度)の金融政策など、市場の反応やFRBメンバーの金融政策スタンス等からNYダウとNASDAQ-100を使い分けるのもひとつでしょう。


図2 投資環境と米国株価指数の推移

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(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成

※上記は過去のデータであり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また、ETFの運用実績ではなく、将来のETFの運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
※S&P500ヘッジなしはS&P500ネットトータルリターン(TTMベース)、S&P500ヘッジはS&P500ネットトータルリターン(TTMベースJPYヘッジ)、S&P500ESG、NASDAQ100、NYダウはそれぞれのネットトータルリターン指数をTTMを用いて円換算したもの。

Q)S&P500ESG ETFとプレーンのS&P500ETFは、どちらを買えばよいですか。

A)ESGに注目している方はS&P500ESG ETF(2635)を、S&P500に連動することが重要と思われるならS&P500ETF(2633)を選ばれるのがよいと思います。

ESGは最近注目されているテーマでもあり、例えば資金のフローを見てみるとESG関連のETFにかなりお金が流れています。資金フローの後押しを考えてESGのETFを選択することで、少しでもプレーンのS&P500ETFを上回るのではないかと考えるのもひとつです。もちろん、サステナブルな社会を作っていくための投資をしたいという理由でESGのETFを選んでいただくのは、投資の根本的な考えに則ったやり方でしょう。

Q)米国のETFと比較して、日本のETFはコストが高いのはなぜでしょう。

A)圧倒的に残高の多い米国のETFは、規模の経済が働くためコストが安くなっているのは事実ですが、直近は日本のETFも世界に比べてもかなり割安になっています。

米国はでファンドの統廃合や運用方針の変更も頻繁に行われますが、日本はどちらかというと投資家保護の観点からファンドの統廃合や運用変更はしづらい等、制度や文化の違いが見られます。また、日本のETFにも、段階料率になっていることで残高が増えるほどコストが低減していくような仕組みを持つものもあります。

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Q)ETF市場に流入する資金は毎年のように増加していますが、このまま規模が増長することによるネガティブな影響はないのでしょうか。また、日銀の大量ETF買いの影響が心配です。

A)世界的なパッシブ化の動きについてはネガティブな話も多いですが、反論も同様にあります。

例えば様々な中央銀行の金融政策のようなマクロファクターが市場にインパクトを与えている場合、個別銘柄を選ぶよりも投資対象をバスケットで得てしまったほうが適切に反応できるという投資家サイドのニーズも、インデックスのプロダクトであるETFが増加している要因でもあります。今までパフォーマンスがあまり出ずコストの高いアクティブの投資信託しか選択肢がなかったところにETFという投資家にとって非常に効率的なツールができたことで、今はETFにお金が流れているのだと思います。また、日銀については、日銀が購入しているETFの中身である企業とのエンゲージメントや議決権行使は運用会社が責任を持って行っているので、過度に大きな懸念をもたれる必要はないかと思います。

Q)ETFはどういうタイプの投資家に向いていますか?

A)ETFの購入経験者の方は、自分で情報収集や投資判断を行なう傾向があるようです。

野村アセットマネジメントが実施した投資家調査から見えてきた投資家像は、「自分で情報収集や投資判断を行う、投資リテラシーの高い、年収・保有金融資産の多い人」でした。しかし、だからと言って「ETF=お金に余裕のある投資のプロのための投資ツール」というわけではありません。むしろ、「保有資産が多く、資産運用への意識が高い投資家が自分でいろいろと調べた先にたどり着いた投資ツール=ETF」といえるのではないでしょうか。ETFはあらゆる投資家に門戸を開いています。今から投資を始めるような初心者であっても、ETFを同じように利用することができるのです。


図3 資産運用の投資スタンスについて

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(出所)野村アセットマネジメント ETF投資家調査2021

Q)ビットコイン等暗号資産のETFはいつ頃発売されるのか?

A)2021年10月に米国でビットコイン先物に連動するETFが認められ、興味を持たれた方も多いと思います。国内市場で暗号資産のETFが上場されるにはしばらく時間がかかると思いますが、投資対象として暗号資産が世間的に認められるようになれば、可能性は出てくるのではないかと思います。

以下より「楽天証券ETFカンファレンス2021 パネルディスカッション『世界と日本におけるETF投資の展望』」のアーカイブ動画をご覧いただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=xvEPPiJMqSU&list=PLiUUw-5SMcZuLGzO5_tJCZ3IYqtq4TWLl&index=9

本イベントにて紹介した商品詳細は、以下にてご確認いただけます。

~米国株式ETF~
1545 NEXT FUNDS NASDAQ-100®連動型上場投信
1546 NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信
2633 NEXT FUNDS S&P 500 指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信
2634 NEXT FUNDS S&P 500 指数(為替ヘッジあり)連動型上場投信
2635 NEXT FUNDS S&P 500 ESG指数連動型上場投信

~米国債券ETF~
2554 NEXT FUNDS ブルームバーグ米国投資適格社債(1-10年)インデックス(為替ヘッジあり)連動型上場投信
2647 NEXT FUNDS ブルームバーグ米国国債(7-10年)インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信
2648 NEXT FUNDS ブルームバーグ米国国債(7-10年)インデックス(為替ヘッジあり)連動型上場投信

(2021年12月作成)